■この記事のカテゴリー パンのある風景
■この記事の掲載日 2014.03.20

パンのある風景

No.26

個人の日記や思い出話ではなく、公開された映画や誰でも読める本やエッセー。
そんな中に登場する『パン』をクローズアップ!
再現してみると、予想以上に難しいことがわかりました。
『パン』が主役のワンシーン。どうぞゆっくりご覧下さい。

フレンチトースト 映画『クレイマー、クレイマー』から  幼い息子の養育権をめぐる離婚裁判を主軸に、父子の心の絆が深まっていく物語。今まで育児を妻に任せきりだった父親は、突然母親がいなくなった息子に朝食を作る。フライパンの中で焦げているフレンチトースト。―― 1年半の時が経ち、育児と仕事が両立できず失業してしまった父親は、養育権が妻に渡り息子と別れる朝、慣れた手つきでフレンチトーストを作る。  嫁ぎ先で、同居していた夫の弟にフレンチトーストを作った。フランスパンに、シナモンシュガーやメイプルシロップも添えてテーブルに置く。「何これ? こんなのフレンチトーストじゃないよ」と手をつけない。聞けば、義母が作るものはまったく別物。溶き卵にパンを浸して焼いただけなのだから、卵パンというしかない。メイプルシロップではなくて、ソースが必要だったのだ。  嫁ぐ前、先輩方から「どんなにいいお義母さんでも、布巾の干し方ひとつで許せなくなる時があるもんよ」と言われていたが、果たしてカルチャーショックはフレンチトーストに留まらず、語彙の数にイントネーション、洗濯の仕方、干し方、たたみ方、ごはんの炊き方、煮物の味付け、味噌汁の具材‥‥と、生活の一切に及んだ。  こちらも我慢したが、思えば異分子を受け入れた義母も相当我慢してきたに違いない。我が息子が結婚する年齢になるとよくわかる。みんな違ってみんないいと言いながら、受け入れるとは大変なことだ。卵パンでもフレンチトーストでも、今思うと大して変わらない気がするのだが。 えくてびあんスタッフ

パンのある風景 No.26 フレンチトースト 映画『クレイマー、クレイマー』から