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■この記事の掲載日 2017.03.07

街のかお

「立川から発信するアーティスト」 Vol.7 ダンサー 松本更紗さん



Dancer 松本更紗(Matsumoto Sarasa) 

国立音楽大学音楽学専攻卒。
ヴィオラ・ダ・ガンバを
神戸愉樹美氏に、
笙を宮田まゆみ氏に師事。
パリ市立高等音楽院古楽専攻
ヴィオラ・ダ・ガンバ科卒業。
クラシックバレエの経験を活かし
古典舞踏をフランスで学ぶ。
2014年ル・ポエム・
アルモニークの音楽による
オペラ「ディドとエネアス」に
おいて、踊りと演奏で出演。
その他、ヨーロッパの
主要ダンスカンパニーや
音楽グループの公演など。
また、父・松本雅隆氏主宰の
カテリーナ古楽合奏団、
ロバの音楽座の舞台にも出演。
フランスと日本を行き来しながら、
様々なジャンルで活動を
続けている。
姉はシンガー 松本野々歩さん

ロバの音楽座 HP



古楽器 ヴィオラ・
ダ・ガンバの奏者として、
ある時は宮廷の舞姫として
世界の人々を魅了。

“あらゆる「音」を、
見える形で表現したい”
日本とパリを往来する中、
今、ここにしかない
美しさを奏でる松本更紗さん。

152cmの華奢な身体が
ひとたび、舞台に上がると、
大きく存在感を放ちます。

たましんRISURU大ホール
をはじめ、様々な舞台に
出演するため、
帰国中の更紗さんに
お話を聞くことが出来ました。

 


◆ヴェルサイユ宮殿にて

“何かにつながる”という
気持ちで、すべてと向き合う。

5才から19才頃まで
クラシックバレエをしていました。
バレエって、スポーツに
似ているところがあって。
努力次第で、あるところ
までは行けても、
生まれ持った跳躍力とか、
アスリートとしての資質が
もとめられます。
身体への負担も大きいですし。

私は、もう少し心地よく
ふる舞えるものがしたかった。
自分の中から自然に
湧き出てくるものとか。
でもバレエは、
今に活きているので
続けてきてよかったと思います。



◆2014年より携わっているオペラでは、ヴィオラ・ダ・ガンバも演奏 (左前)。
Photo : Frédéric Carnuccini, Agence Albatros

私の「音」を表現するために。

物心ついた頃から、身の回りに
父のしている中世・
ルネサンス時代の音楽や
沢山の古楽器がありました。

その中で、私はヴィオラ・ダ・
ガンバの音色にとても惹かれた。
これは、「音」を表現する
一つの方法になりました。

もう一つは表情や動きなど、
身体で表現する「音」です。
ヴィオラ・ダ・ガンバを
弾いていて、当時どのような
踊りが踊られていたのか、
興味を持ちました。
そこで出会ったのが
ルネサンス、バロックダンス
だったんです。



◆DIDO & AENEAS

人間らしさを感じる、
ルネサンス、バロックダンス。

ヒストリカルな踊りには、
民衆的なものと
宮廷のものがあります。
民衆の踊りは、広場で
輪になって舞うような踊り。
一方、宮廷の踊りには
日常生活の美しい所作を
学ぶための目的も
含まれているんです。
立ち姿やドレスが美しく
見える動き、物の渡し方
ひとつ取っても、
こうした方がキレイとか。
すべてが踊りの中に
息づいています。



◆Photo : Stephan Gloede (右端) ジャン=フィリップ・ラモー:オペラ「ピグマリオン」

3才頃までが、
私の一生分の反抗期。

幼少の頃は、
演奏会や映画は観られない。
電車もイヤー!
それはわがままで、
大変だったようです。(苦笑) 

そういうわがままも
自分をしっかり持っている証、
と今は思える。
周りのお父さん、お母さん方に
「大丈夫ですよ」って
言ってあげたいですね。

3つ上の姉、野々歩とは、
全く性格が違います。
だからか、すごく仲がいい

舞台が好き。

中学生の頃、
ちゃんと役をもらえて
舞台の上にいるのが
すごく気持ちよくなった
瞬間があったんです。

先生に喜んでもらう
ために踊るんじゃない。
まずは自分が、とにかく楽しむ
ことが一番だと。
それ以来、ライトを
浴びるのが快感に
なっていきました。

ロバのメンバーを見ていても、
みんな楽しんでいますね。
だからお客様も楽しめる。



 
◆ロバの音楽座 「コンサートのぼうけん」より (たましんRISURU大ホール)

自分を売り込むのが苦手。

パリに行って4年ほど
ヴィオラ・ダ・ガンバを
学ぶため、音楽学校に
通っていました。

学校がバカンスになる度に、
様々な踊りの講習会に
行って、ひとり黙々と
レッスンを受けていたんです。

そのうち周りから、
「自分でドアを開かなきゃ、
誰も手を差し伸べてくれない。
フランスはそういう
ところだよ」と言われ始めて。



◆Photo : Stephan Gloede (左2番目) ジャン=フェリ・ルベル「Les Caractères de la Danse」

普通は、振付家や演出家に、
「やらせてください」って、
売り込むものかも
しれないけれど、
私にはそれが出来ない。

でも、舞台が大好きだし、
やりたい気持ちは
人一倍あって。
“言おう、やめよう、
言おう・・”を繰り返して
結局、言えたのが
渡仏して4年くらい経った時。

もう帰ろうという時に、
フランスの主要ダンス
カンパニーやバロック音楽
アンサンブルの公演の
オファーが重なりました。

周りの方の勇気や優しさに
活かされて、今がある。

経歴云々よりも、可能性や
“一緒にやると面白そう”って
思ってもらえたら、
チャンスがやってくる。

見知らぬ日本人。
若く見えるし、経験もない者を
いきなりボンと舞台に出す
決断って、すごいなぁって。
みんなの勇気や優しさに
活かされて、
今の私があるって思います。
 

今していることが
いつか人のためになるように。
精いっぱい、生きる。

東日本大震災があった時、
フランスにいたんです。
被災された方々のために
何も出来ないことが、
ずっと悲しかった。

チャリティコンサートなどを
される方もいたけど、
その時、私はまだ学生だったし、
中途半端な私を見せて
お金を頂くのは申し訳ないと
下手に動けなかった。

今は、何のお役に立てなくても、
自分が出来ることを一生懸命
頑張るしかしかないって、
思いながら過ごしていました。

ジャンルにとらわれず、
自分の表現というものを
突き詰めていきたい。

パリで参加している舞台には、
バロックダンスをはじめ
パントマイム・
コンテンポラリー
ダンス・バレエなど、
様々な要素が入っています。

「ルネサンス」「バロック」
という馴染みのないジャンルを
日本でどのように伝えていくかと
いうことが、
これからの課題ですね。

そのためにも、
もっと成長したいし、
ジャンルを超えて
様々な人と出会って
経験を積みたいという
思いがあります。
出来るなら、
もう少しパリにいたいな・・。


◆踊る楽しさを、親子で楽しむワークショップより。(ロバハウス)

『ロバハウス』を、
もっと知ってもらいたい。

自然があって、
鳥の声が聴こえる
ここ、玉川上水は
やはりいいですね。
いっぱい呼吸をしたくなる。
そして家族のいる
『ロバハウス』は
どこよりも落ち着きます。

『ロバの音楽座』、
『カテリーナ古楽合奏団』
の活動も含めて、これからは
この空間で色々なジャンルの
方々を招いてワークショップや
イベントをしていきたい。

この空間が作り出す
雰囲気も活かして、
共感してくれる方々と一緒に。
立川の方々にも
たくさん来て頂きたいです。

踊りっていうと構えちゃうけど、
ただ音楽に合わせて歩く、
それも違う年齢の方々が
一緒に楽しめることを、
もっと色々な所でしていきたい。
それも、今後のテーマの一つです。






Vol.1 デザイナー 寺西麻紀さん
Vol.2 イラストレーター 清水美和さん
Vol.3 かぶりもの作家 ニシハラ★ノリオさん
Vol.4 映像作家 波田野州平さん
Vol.5 シンガ― 松本野々歩さん
Vol.6 油彩画家 槇島 藍さん
Vol.8 たちかわ交流大使 山下洋輔 with
国立音楽大学ジャズ専修 スペシャルコンサート
 
 
 

「立川から発信するアーティスト」 ダンサー 松本更紗さん