おいでやす!たちかわ

  • エリア 曙町

おいでやす立川名店街
この回から「おいでやす!たちかわ」が新しくなります。立川にゆかりのある人物を迎え、その人の心に残る「立川の場所」や「立川の味」、そして「立川の人」を訪ねます。 忘れられない店、足しげく通った場所、節目に出会った味、そして魅力的な人――。 その人が歩いてきた記憶と物語から、立川をもう一度見つめるコーナーです。
リニューアル第1弾の案内人は、「立川食べ歩き隊」を主宰する木嶋雅史さん。
「立川のおいしいお店を、みんなで巡ってみよう」。そんな「食べたい、楽しみたい」という気持ちから始まった立川食べ歩き隊は11年目を迎え、参加者はもうすぐ9,000人に届こうとしています。 木嶋さんには「おいでやす!たちかわ」のアンバサダーとして、今月9月を皮切りに、12月、3月の全3回にわたり、立川の人とお店を案内していただきます。 その最初の一軒に木嶋さんが選んだのは、「個室居酒屋 家偉族~kaizoku~立川本店」です。
店主の上地努樹さんとは、およそ11年の付き合いになります。二人がこの店で重ねてきた時間を、一緒にたどってみましょう。

「おいしい」がつないだ11年
――立川食べ歩き隊と個室居酒屋 家偉族~kaizoku~立川本店が紡いだ時と人

二人が家偉族で重ねてきた時間をたどると、「おいしい」の向こう側に、人と人とのぬくもりが見えてきました。

100人から始まった、二人の歳月

食べ歩き隊が100人になった頃、記念の宴会を開くことになった。 「家偉族でやってみよう」 木嶋さんが上地さんに相談したことから、二人の関係は始まる。
人数の読めない大宴会は、店にも幹事にもリスクがある。それでも家偉族は、キャンセル料を取らない。飲み放題は時間無制限。お通しも席料もない。上地さんが掲げるのは「幹事様に優しい店」だ。その姿勢が、食べ歩き隊と不思議なくらい噛み合った。 100人、200人――。節目の宴会は、いつも家偉族で開かれた。
「食べ歩き隊様々ですよ。一緒に大きくなってきたから」上地さんがそう言えば、 「いや、こちらこそ家偉族に助けてもらってきました。料理のクオリティーも良いしね」と木嶋さんが返す。 木嶋さんが惚れた料理について、上地さんが一例として教えてくれたのが、ぶりのなめろうだ。注文を受けてから、一から仕上げるひと品は、「普通にお刺身で使っている部分を、なめろうにして出しているんです」。大勢でにぎわう宴会の日も、目の前の一皿のおいしさにこだわる。その積み重ねが、木嶋さんを何度もこの店へ帰らせているのだろう。
 

また来たくなる、その一回をつくる

上地さんが大切にしてきたのは、「また来てもらえるお店、帰ってきたくなるお店」をつくること。そのために、お通しや席料、キャンセル料など、お客さんが負担に感じるものをなくした。注文した飲み物を待たせないよう、平日も十分な人数のスタッフを配置している。「いつ行ってもベストパフォーマンスができるお店」——それが上地さんの目指す姿なのだ。スタッフの配置を、単なる人件費ではなく、未来につなげる「広告費」と捉えている。一度来た人に、また来たいと思ってもらいたい。その人が「家偉族っていう、いい店があるよ」と誰かに伝えてくれる。上地さんが11年かけて蒔いた種は、少しずつ花開いていった。
木嶋さんも、お店の厚意に甘えない。予定より宴会の人数が減っても家偉族はキャンセル料を取らないが、木嶋さんは後日また別の人を連れて帰ってくる。
「ちゃんと埋め合わせを後でするんです(笑)」
「後日ね(笑)。『次はあいつ連れてこよう』みたいな感じで」
店がお客さんを思い、お客さんも店を思う。その信頼関係を、二人は行動で示してきた。

苦しい時間も、一緒に越えた

そしてコロナ禍。街から人が消え、およそ170席を抱える家偉族も閉店を考えたという。 その店を支えたのは、「潰れてほしくない」と足を運んだ人たちだった。そこには食べ歩き隊の仲間もいた。クラウドファンディングでは、木嶋さんも力を貸した。家偉族がこれまで迎えてきたお客さんたちが、今度は店を支える。ただ楽しい酒を一緒に飲んできただけではない。苦しい時間も、一緒に越えてきたのだ。

「自分の街で生きていく」

木嶋さんが、これほど立川の人とお店をつないできたのはなぜだろうか。 木嶋さんが育ったのは、立川市ではなく千葉県の成田市近郊だった。 しかし、「祖父は立川に暮らし、立川飛行機(現・立飛ホールディングス)で働いていた」という。 飛行場のある成田市近郊で育った木嶋さんが、時を経て、祖父が暮らしたもう一つの飛行場の街・立川市へ。不思議な巡り合わせだ。

全国各地のまちづくりに関わっていた頃、木嶋さんは「風の人」と「土の人」という考え方に出会った。
各地を渡り歩く「風の人」と、その土地に根を張り、街の記憶を持つ「土の人」だ。 自分の街について楽しそうに語る人たちを見て、木嶋さんは思った。「そうやって人生を重ねていくの、好きだな」 「自分はこの街で生きていく」。そう腹をくくれる場所が一つある方が、人生は楽しいのではないか、と。 「おいしいものを食べたい」から始まった立川食べ歩き隊。人と人がつながり、お店と人がつながった。 そして今、祖父が暮らした立川で、木嶋さん自身もまた、自分の時間を重ねている。 気づけば、かつて全国を歩いた「風の人」は、この街に根を張る「土の人」になっていた。

帰ってきたくなる店、帰ってきたくなる街

上地さんは、初めて来た人がまた来たくなる店をつくってきた。木嶋さんは、人とお店をつなぎ、この街で過ごす楽しみを増やしてきた。家偉族で宴会を開き、また人を連れて帰ってくる。そんな一回一回の積み重ねが、店にも街にも、次の出会いを運んできた。

「準決勝の街」

木嶋さんは立川を、「準決勝の街」と呼ぶ。
周辺の街で力をつけた人が立川に集まり、ここからさらに次へ挑戦する人もいる。だから、「おもしろい人やお店が集まる街」なのだという。
ただ、大きくなればいいわけではない。「一気にやらない。ゆっくり変化を起こす」。そして、「みんなでやってるという空気を壊さないまんま、でもずっと良くなっていく」。それがいい。

「そっち行く?」

最後に、木嶋さんに聞いた。「立川の最終形ってありますか?」
答えは、「あんまないですね」。
街を見るのは「植物を見る感覚に近い」という。完成形へ無理に導くのではなく、「すくすく育つ環境を整えてあげて、どう育つかを楽しむ」。予想外の方向へ枝が伸びたら、「そっち行く?」と、一緒に面白がる。
人を無理に動かすのではなく、人が動きたくなる場所をつくる。それは木嶋さんにも、上地さんにも通じているように思えた。

右肩上がり

宴会の最後、木嶋さんにはお決まりの締めがある。
「よ~お!」パン。そして、右肩をキュッと上げる「右肩上がり」。
締めの定番は、いつもこれなのだ。




INFORMATION
立川食べ歩き隊


2015年9月に発足。「立川のおいしいお店をめぐりたい!楽しい人たちと交流したい!」 そんな気軽な食べ歩きから始まり、今ではもうすぐ9,000人に届こうとしている地域コミュニティに成長しました。 立川の飲食店を訪ね、食べて、飲んで、人と人、人とお店をつないできました。 始まりは、たった数人。 「おいしそうだから、一緒に行こう」。 その輪は11年をかけて広がり、これからもさらに広がっていくことでしょう。

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個室居酒屋 家偉族~kaizoku~立川本店

「また来てもらえるお店、帰ってきたくなるお店」を目指し、立川で11年。 全172席。最大150名様まで収容可能。変幻自在な全席完全個室を備え、大人数の宴会にも対応。お通し・席料・キャンセル料を設けず、時間無制限の飲み放題など、「幹事様に優しい店」を掲げています。 一度来てくれた人が、また誰かを連れて帰ってくる。 そんな人と人とのつながりを大切にしてきた一軒です。
また、家偉族の店主・上地努樹さんの著書「奇跡の個人店」も絶賛販売中です!
 
【店舗情報】
店名:個室居酒屋 家偉族~kaizoku~立川本店
住所:立川市曙町2-7-19 MAビル2F
【営業時間】
日曜~木曜 … 11:30~23:00
金曜、土曜、祝前日 … 11:30~24:00
定休日:なし
TEL:042-519-3421
公式サイト