気になる人・インタビュー

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気になるあの人…突撃インタビュー
立川市内で生産される名産品の数々。育てる方々のインタビュー。

地域全体で立川いちごを盛り上げるために奮闘中!

近年、立川で注目を浴びている農産物が “いちご” です。
立川のおいしいいちごを安定して供給できるように、いちご農家さんの有志が集い、設立したのが「立川いちご会」。今回はその設立メンバーで、会長を務めていた豊泉農園の豊泉享平さんに、いちご作りにまつわる様々なお話を伺いました!
甘くておいしく、見た目も可憐ないちご。でも、私たちには見えないところで、大変な作業があってこそ、素晴らしいいちごができあがっているんです!
一粒ひとつぶにこめられた農家さんの情熱をお届けします!
豊泉享平さん

東京都立川市出身。
砂川の農家の5代目。
祖父の代の養豚業から父親の代に野菜農家に転身。
野菜や切り花作りは現在も継続中。
享平さんは大学卒業後、農業試験場勤務を経て家業を継ぐにあたり、いちご栽培を導入。
現在は立川いちごを盛り上げるべく奮闘中。

豊泉農園

 

何かを作るなら家族が喜ぶものを

カフェやスイーツショップで「いちごフェア」なんてポップを目にする機会が増えてくると、春だなぁ、いちごおいしそうだなぁと、なぜかウキウキしてくるのは、私だけではないはず。
店頭に並ぶいちごのパックを見て、もう少し安くなったら…なんて思っていましたが、今回、いちご農家さんである豊泉農園さんを取材させていただいて、いちごの価格に納得しました。
大変な手間がかかっているからこそ、美しくて味わいも豊かないちごができるんです。
まずは、豊泉さんがいちご作りを始めたあたりのお話から聞いていきましょう。
「長男なので、いずれ家業を継ぐというのは自分でも覚悟してまして、それまでは好きなことをしようと、大学では水産関係の研究をしていました。
卒業後は、まずは色々勉強するために東京都の農業試験場に研修生として入りました。
若手がほしかったようで、そこで勤務することになり、担当になったのは花の栽培でしたね。
ちょうど東京オリンピックを控えた時期だったので、会場に設置する花で、しかも東京の猛暑に耐えうる花の選定作業に打ち込みました。
約2000種もの花のデータをとり、無事にオリンピック開催となりました。
それで、自分の契約期間が5年だったことと、30歳前には家に入ると思っていたので、農業試験場を辞めたんです。
うちは、おじいさんは養豚、父親は野菜と切り花を作っていまして、それぞれが別のものづくりをしていたんです。
じゃ、私は何を作ろうかなと思ったときに、縁あっていちご作りの指導が上手な農家さんと知り合ったんですね。
そんなこともあっていちごはどうかなと思い、妻に「いちごとぶどうならどっちがいい?」と聞いたら
「いちごがいい。甘いいちごが食べたい」
と言われました。
どうせ何かを作るなら家族に喜ばれるものがいいな、と単純に思いました。
当時は畑のそばで直売所もやっていたので、冬場に出すものがなかったこともあり、じゃ、いちごにしようと決めました。
それからまずは、東久留米のいちご農家さんで教えてもらいながら1年働き、2年目からは自分の家の畑で栽培を始めました」

いちご栽培はハイリスク、ハイリターン

豊泉農園さんのいちごハウスにお邪魔させていただいたのですが、ハウスの手前の作業するお部屋に入ったとたん、いちごの甘い香りがほのかにします。
まるで天然のルームフレグランス。優雅な気分になってしまいますが、いえいえ、作業はやはり過酷なようです。
「いちごは15か月かかると言われているんですよ。
3月に苗づくり、7月にポットに分け、9月は植え付け。
12~5月末までが収穫なんです。
3月は収穫と苗づくりが同時進行なのでもっとも忙しい時期でもあります。
いちごをやるって仲間に言ったら休みがとれないよって言われましたけど、本当にその通りでしたね」

手間がかかるわけは、いちごの繊細さにあるようです。

「いちご栽培の苦労する点は3つありまして、まずは肥料や水にとても敏感なところですね。
肥料の濃度がちょっと濃くなってもおへそ曲げて、収穫量が減りますし、根が弱いので常に適度な水分を与えることも大事なんです。
2つ目は、温度に敏感なところです。ハウスで管理しているとはいえ、夏場は日中の温度が35℃以上になってしまうと、温度を下げるのは難しく、花粉のつきが悪くなります。
また、寒すぎてもだめなので、とても気を遣うところですね。
3つ目は、病気や虫に弱いところです。例えば空気中の菌で起こる炭疽病などは、土壌でも伝播するので、病気が発生してしまうと、一つの畝を全部廃棄するということもあります。
それだけ、リスクと隣り合わせなのがいちご栽培ですね。
けれど、いいものができればやはり市場価値は高いですからハイリターンでもあるんで、新規に参入するには勇気がいるものでもありますね」

栽培後の流通や販路の確保がさらに大変!

都市型農業は、やはり地方の特産地と比べて収穫量が少ないため、安定した収入につなげるには販路の確保がもっとも大切なようです。

「僕のところでもいちごを始めた当初は大変でした。
栽培自体が難しいことに加えて、その後の販路の確保がまた問題でした。
せっかくいいいちごができても、販売先が見つからず、廃棄せざるをえないなんてこともあるんです。
また、ありがたいことに、うちはレストランやホテルからの注文も多く頂くようになりましたが、いちごが完熟になるタイミングがあわないと、注文量を出荷できないなんてこともあるんです。
いちごは5回花が咲くんです。
最初の実が完熟になって収穫して、次の実がつくタイミングが遅れてしまうと、収穫量が減ります。
完熟を出荷することが基本ですから、ここはゆずれません。
ですから、若い方で、いちごをやりたいという方には、栽培よりもむしろ販路の確保や出荷量を安定させることのほうが大変だということを知ってもらいたいですね」

仲間といっしょに立川いちごの良さを広げていきたい

販路の確保や安定した供給のために、豊泉さんはじめ、有志のいちご農家さんが集まって立ち上げたのが「立川いちご会」なんだそうです。

「さっきもお話ししましたように、せっかく注文を頂いていても何らかのアクシデントで量が足りないことがあったりします。
そんなときに助け合えるのが『立川いちご会』なんです。
一定以上のクオリティを保ったいちごを作っている農家さんの助け合いから生まれた会なんです。
立川のいちごを盛り上げていこうということで、5つの農家が集まってブランディングしました。
みんなで意見を出し合い、パッケージなども統一したものを作成したんですよ。
立川いちごのロゴマークは、地域に愛されるブランドにしたいとの思いで立川の『立』の字をデザイン。
いちごの下の直線は、いちご作りに大事な要素である土を表現して茶色にしてあるんです。
消費者もほこりをもって買ってもらえるブランドになるように願っています。
そのために、いちごのコンテストにも出品を始めました。
まだ受賞はないんですが、がんばって出品も続けていくつもりです」
立川のいちごが特産品となるように、奮闘中の豊泉さん。そのためにも、本来なら表に出さないデータも提供しているそうです。

「いちご作りは、ハイリスク、ハイリターンと言いましたように、栽培も難しいし、その後の販路の開拓も大変。なら、新規参入する人が栽培でつまずいてほしくないので、私たちは、栽培データを提供しているんです。いちご会に入っていただければ、誰でも見られます。いちご栽培を始める方が増えてくれれば、うれしいですからね」

なんという太っ腹。栽培データはそれぞれの農家さんの汗と涙の結晶ともいえる大切な秘伝。それを惜しげもなく新しい人に提供するなんて、どれほど地域全体でいちごを活性化させたいかという思いが伝わってきます。

家族の素直な反応がいちばんのごほうび

大変ないちご作りですが、作っていてよかったなぁと思うのは、どんなときなんでしょうか。

「収穫期になると、毎日『はい、採ってきたよー』って子どもにあげるんですよ。ボウル1杯くらいぺろっと食べ終わると、ああ、おいしかったんだなと思えますし、残していると今日のいちごはあまりおいしくなかったのかなってちょっと不安になります。子どもは正直ですからね。でも朝から夕方まで作業に追われているんで、家族と過ごすこのひとときがね、私にとってはすごく大事だと感じています。特別なことではないんですが、いちごを作っていてよかったなと心から思える瞬間ですね」

豊泉さんに、お父さんとしての顔がちらっとのぞき、何気ないときを大切にしている姿がとても印象的でした。
立川のいちごは、まだ発展途上。おいしさを追求し、日夜奮闘を続ける豊泉さんはじめ、立川いちご会を、ぜひ、応援してください!
豊泉享平さんのいちごが購入できるのは、以下の場所です。
【立川市】
■ファーマーズセンター みの~れ立川
【所在地】立川市砂川町2-1-5
【営業時間】10:00~17:00
【TEL】042-538-7227
【駐車場】あり
【立川市】
■地元農家のとれたて野菜 のーかるバザール
【所在地】立川市柴崎町3-9-25
【営業時間】4月1日より (平日・土曜)10:00~19:00 (日曜日)10:00~17:00
【TEL】042-548-2511
【国立市】
■くにたち野菜しゅんかしゅんか
【所在地】国立市中1-1-1
【営業時間】10:00~19:00
【TEL】042-505-7315