気になる人・インタビュー

  • エリア 西砂町

気になるあの人…突撃インタビュー
立川市内で生産される名産品の数々。育てる方々のインタビュー。

個性に合わせたていねいな飼育で 質のよい生乳を

東京には意外と多くの酪農家さんがいる! もちろん立川市にも! 
立川は駅周辺は都心と変わらないにぎわいでありながら、畑や養鶏、養豚業を営む農家さんもいる懐の深い、多彩な街。今回は酪農業を営む中里牧場の中里泰久さんを訪ねました。
一頭いっとう、牛たちの個性に合わせて飼育をし、ストレスを最小限に抑える努力を経て搾られる生乳は、品質検査でも常に高成績とのこと。そんな中里さんに牧場のお仕事の一端を伺いました。
中里 泰久(なかざと やすひさ)さん

東京都立川市出身。
戦後まもなく、青梅にある泰久さんの祖母の実家から牛をもらい、酪農業に就いたのが中里牧場の始まり。
泰久さんは北海道の酪農の大学を卒業後、実家の酪農業を継ぐ。
生乳だけでなく、アイスクリームなどの新たなチャレンジも展開中

中里牧場のインスタグラム

24時間365日、牛たちと向き合ってます

立川市西砂町にある中里牧場さんは、西武立川駅または昭島駅から立川市の“くるりんバス”に乗り、西砂スポーツ広場北停留所近くに位置します。敷地に入ると「モーッ、モーッ」という牛たちの元気な鳴き声が聞こえてきます。
牛舎には、牛たちがずらり。近くで見ると大きさに圧倒されます。
一頭いっとう、移動させるのも大変なお仕事だなぁと思いながら、午前のお仕事が一段落したところでお話を伺いました。
いったい酪農家さんは、どんな一日を過ごすのでしょう。

「朝は3時起きで、餌やりと搾乳。7時頃に終わったら次は9時から12時半ころまでまた世話をして、午後は1時頃から夜7時まで。搾乳は1日に2回、その間に運動場に放したり、餌やりがあり、本当に一日中牛と向き合ってますね」

もちろん休憩をとりながらでしょうけれど、生活と牛の世話が一体になってます!
「本当に休みなしですから、まず旅行ができない。今はヘルパー組合というものができて、ヘルパーさんをお願いして旅行もできるようになりましたが、僕が子どもの頃は家族旅行なんて行ったことがなかったですね。そういうものだと思ってましたから寂しく感じたこともありませんでした。
やはり生き物相手ですから、病気にもなるし、目が離せません。乳牛のかかる病気で多いのは乳房炎です。人でいうと乳腺炎ですね。乳房炎を起こすと抗生物質を打ちますから当然出荷停止になります。病気になると牛の世話が増えますからさらに1日が大変になるんです」

できるだけ個性に合わせた飼育から質のよい生乳が生まれます

中里牧場さんには現在42~43頭の乳牛がいます。
生後2ヵ月の子牛から成牛まで様々。
知らない人がいると興奮するからと言われ、恐る恐る牛舎を通り抜け、牧草地に行くと、今日初めて運動場に放された子牛もいて、もう本当にうれしそうにはねたり駆けまわったりしていました。
反対側のスペースには4頭ほどの成牛が。
「この子たちは、あと2ヵ月くらいで出産なんで搾乳はお休みしてます」
出産に備えてストレスのかからないように広々した場所で過ごしていました。本当に手のかかるお仕事ですが、やりがいを感じるところを伺うと…。

「そうですね、毎月生乳の品質検査で実感してますね。濃厚さを感じる脂肪分やタンパク質、甘さのもととなる乳糖などを測るんですが、毎回とてもよい数値で出荷先にも喜ばれています。何が理由かというと、人間でも食事のバランスが大事なように、牛たちも、人でいうとお米にあたるのが乾草で、まずこれをたくさん食べさせて、大豆やとうもろこし、ビートなどをバランスよく配合しています。でも好き嫌いがはっきりしている牛もいるんで、好みに合わせたものを食べさせてますね」

餌のとうもろこしは、敷地内の畑で自家栽培。新鮮な餌をたっぷり食べられて幸せな牛たちです。
でも、ずーっと牛と過ごしていると情がわいてきそうですが…。

「牛たちは僕らにとって経済動物ですからね、可愛いとも思いますけれど、そこは線引きしています」

骨の強さは一家そろって自慢

牛がいることが当たり前、牛乳はおそらく人よりたくさん飲んでいる中里家。何か健康面で違いはあるのでしょうか。

「牛乳のカルシウムのせいか、うちは誰も骨折したことがなくて、お祖母さんとかも病院でエコーしてもらうと先生にすごい骨が太いって言われるんですよ。息子も転んでもケロッとしてますしね。骨の健康はやっぱり牛乳のおかげだと思っています」

取材に伺った日は、御年83歳のお父様も仕事をしていました。
小さなショベルカーをすいすいと運転し、堆肥をトラックに積む作業を淡々とこなしていて、あっぱれとしばし見とれるほど。
牛乳パワー、恐るべし。

中里さんの牛乳は、「東京牛乳」として販売されています。
東京都酪農協同組合と多摩地区の酪農家さん、協同乳業が共同開発した産地指定牛乳です。
酪農家さんを限定することで、一般よりも乳成分の高い牛乳をパック詰めしているという商品。東京のおいしい牛乳として自信をもっておすすめできます。

ピンチのときこそ新たな可能性にチャレンジ

現在、中里牧場さんでは不定期でアイスクリームの販売もしています。
搾りたての牛乳から作られるアイスクリームなんて、想像しただけで幸せな気分。
どんなきっかけで誕生したのでしょうか。

「じつは、コロナ禍のときに飼料代が高止まりしてしまって、何とか売り上げを出す方法はないかなと思っていた時に、たまたまアイスクリーム工房さんに『うちの牛乳でアイスクリームを作ってもらえます?』と聞いたら、即OKを頂きましてチャレンジすることになったんです。味は、定番はミルクですが、隣の養蜂家さんのはちみつを使ったはちみつフレーバーや、近所の農家さんのブルーベリーやイチゴ、あるいはさつまいもやさくら、栗なんかも入れて、季節ごとに作ってもらってます。あと、コーヒー味もありまして、これはうちのアイスを食べて気に入ってくれたコーヒー屋さんが、アイスクリームにちょうどいい豆の挽き方にしてくれて実現しました。うちの牧場で販売しているんですが、だいたい1日で60個くらい用意して、早いときは午前中で売り切れてしまうこともあり、地域の方や遠方からお越しの方にも好評をいただいてますね。
コロナ禍が終わっても今度は戦争とかもあって相変わらず飼料は高止まりしています。すごく儲けが出るわけではありませんが、近所の方も喜んでくれてますし、息子もアイスクリーム販売が好きみたいなんで、今後も地域の特色を活かした素材をつかって、いろんな味のチャレンジを続けていこうと考えてます」

これから夏に向けて、新鮮な牛乳で作ったアイスクリームはきっと絶品!
SNSなどで販売の案内がありますので、立川においでの際はぜひ、チェックしてみてください。

今後は暑さ対策も酪農業の重要なポイント

飼料代の高騰に加えて、今後農場経営で課題となるのが、夏場の暑さ対策だそう。

「今後、関東地方で酪農場をやっていくには夏場の暑さ対策が本当に必要ですね。コロナ禍以前は、暑さで牛が亡くなることはなかったんですが、ここ数年の暑さは尋常ではないですから、うちでも暑さのために牛が亡くなるということも起きています。
うちは建物の構造上、比較的風通しがよいのですが、それでも大型の扇風機を各牛舎につけ、24時間稼働させて、熱中症にならないようにしています。夏場はもともと搾乳できる量は減るんですが、今は乳量が減ってもとにかく牛たちが夏を乗り切ることがいちばん大事です」
牛乳は牛たちの命のもと。それをいただいている私たちは、大切に、おいしく頂くことも、自然との共存であり、豊かな暮らしの在り方だなって感じます。
中里さんはじめ、東京の酪農家さんにはいつまでもおいしい牛乳を届け続けてほしいです!
 
立川市での東京牛乳の主な取扱店はこちら
■ファーマーズセンター みの~れ立川
【所在地】立川市砂川町2-1-5
【営業時間】10:00~17:00
【TEL】042-538-7227
【駐車場】あり
■みの~れ立川幸町店
【所在地】東京都立川市幸町1-14-1
【営業時間】09:30~16:00
【TEL】042-535-3711
■地元農家のとれたて野菜 のーかるバザール
【所在地】立川市柴崎町3-9-25
【営業時間】4月1日より (平日・土曜)10:00~19:00 (日曜日)10:00~17:00
【TEL】042-548-2511
東京牛乳は、立川市はじめ、多摩地域、都内のスーパー、コンビニエンスストアなどで広く取り扱われています。