自宅で5分!

自宅で5分!
第1回 足腰をきたえるスクワット

ひざは爪先より前に出せ!

教えてくれる人 富士 貴大さん

■Profile

1992年生まれ。学生時代、柔道競技の体作りのためにウェイトトレーニングを開始。
ボディビルではマッスルゲート神奈川2024一般の部75㎏以下級優勝。
主な資格は、健康体力づくり事業財団認定・健康運動実践指導者、全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)、日本コアコンディショニング協会認定・ベーシックインストラクター(JCCA)。
現在は立川市、泉市民体育館でパーソナルトレーナーとして活躍中。

 



指導してくれるのは、パーソナルトレーナーの富士貴大さん。第1回は、自宅で手軽に始められる足腰の運動、スクワットです。

スクワットで鍛えられるのは、歩くことに欠かせない太ももとお尻の筋肉。そして体をまっすぐに支えるためのお腹周りの筋肉。いわゆる体幹をきたえるトレーニングです。正しい姿勢で続ければ、体に負担をかけずに丈夫な足腰を保つことにつながります。
 

身体に負担をかけない基本の姿勢が大事

富士さん:まずは、スクワットの基本の姿勢です。
自宅でトレーニングするのなら、フローリングなどの固い床に裸足がおすすめです。
ジムなどの施設ではスニーカーを着用しますが、底が厚い靴は、足裏でバランスをとりづらいので、裸足で挑戦してみましょう。

 

①  足は肩幅よりやや広めに開いて立ちます。
②  爪先は30度くらい外側に向けます。
爪先をまっすぐにと指導している方は多いですが、少し外側に向けた方が、自然にしゃがむことができます。
③ 腕は胸の前で交差します。
体の前に腕を置くことで、バランスがとりやすくなります。


 ひざは爪先より前に出しましょう。


富士さん:立ち姿勢ができたら、背中をまっすぐ伸ばして自然にしゃがんでいきます。
この時、「ひざは爪先より前に出さないこと」という解説を多く目にしますが、私はあえて「ひざは爪先より前に出せ」と言っています。
人間がしゃがむ姿勢としてそのほうが自然だからです。
④  背中をまっすぐに保ち、ゆっくり腰を下げていきます。
この時、ひざは爪先より少し前に。
深くしゃがめない方は、右の写真のように、腰をおろせるところまでで大丈夫です。
一方、こちらはNG姿勢。
ひざが前に出ないようにすると、お尻を突き出す姿勢になり、背中に負担がかかります。
動作中は、足の裏全体に体重がかかるように意識してください。
重心が爪先になったり、かかとになったりせず、足の裏全体で体を支える感覚です。
 
そして、1、2、3、4で腰をおろし、5、6、7、8で戻る感覚で動作はゆっくり。
呼吸も忘れずにしましょう。

1日1~3セット。毎日ではなく、休養日をはさんで。

富士さん:基本姿勢をまもりながら、10回を1セットとして、まずは自分のできるセット数から始めてください。
トレーニング初心者なら、2~3セットがおすすめです。
トレーニングは好きな時間にできますが、朝一番は、まだ体が目覚めていないので、ケガをする可能性があります。朝しか時間がとれないという方は、ストレッチなどのウォーミングアップをしてから始めてください。
一般的には、ある程度活動もして食事も摂取している夕方がおすすめです。
また、スクワットをするのは、毎日ではなく週2~3回がおすすめ。筋肉を休める期間を設けましょう。
くれぐれも、体調がすぐれないときや足腰に痛みがある時は控えてください。

富士さんにトレーニングの魅力を伺いました!
「心も体も健康になるトレーニング」

編集部:富士さんがトレーニングを始めたきっかけはなんだったのですか?

富士さん:学生時代柔道をやっていたので、体づくりの一環でウェイトトレーニングはしていました。
本格的にやろうと思ったのは6~7年前です。
実は子供の頃から太っていることにコンプレックスがありました。
柔道に取り組んでいた時は、太っていても「柔道をやっているからいい」と周りからも言われていましたが、運動から離れ、会社勤めが始まると、体形のコンプレックスに加え、人とのコミュニケーションも苦手なため、人間関係で悩むことが多くなりました。
そのストレスから会社を辞めることになってしまったんです。
自分としては、挫折というか、しばらく就職は難しいかなと思っていました。
そうして家にいるとき、たまたま筋トレ系のYouTubeを見たんです。
一生懸命にトレーニングに励む姿がカッコよくて、私もこんなふうになりたいと思い、まずは自宅でトレーニングを始めました。

編集部:にこやかな今の富士さんからは想像できませんが、トレーニングを始めてどんな変化があったのですか?

富士さん:
トレーニングして少しずつ体が引き締まってくると、意欲がわいてきました。
次はこれをやってみたい、明日はこんな方法を――というように。
また、トレーニングは自分で回数の目標や体重などの数値を設定できますから、達成感が得やすいですよね。
するとさらにまた次の段階を目指したくなる。
できたことを重ねていくうちに、自信がついてきたのかもしれません。
そのうち、自宅ではなくてジムに行って本格的にトレーニングを始めたくなりました。
人づきあいが苦手なのに、少しずつ人と接する場所へ出ていくようになりましたね。
努力したことがちゃんと結果としてあらわれてくるので、もっと続けたい――、ならトレーニングを仕事にすれば、ずっとできる!(笑)と思っているとき、今の職場の募集を見つけ、トレーナーとして働かせてもらっています。

編集部:トレーニングを始めたことで、人生が変わったんですね。

富士さん:そうですね。今でもコンプレックスがないわけではないですが、気持ちが明るくなり、仕事もガラリと変わりました。
ジムにいらっしゃるお客様も、体が変わっていくにしたがって、表情が明るくなる方が多くいらっしゃいます。
自分の体験を通し、トレーニングは、体だけでなく心も健康にしてくれると確信していますので、これからも大勢の方を応援していきたいと思っています。

編集部:心も健康になるトレーニング、今後も指導をお願いします!
 

次回予告
姿勢をよく見せる上半身トレーニング