
教えてくれる人 富士 貴大さん
■Profile
1992年生まれ。学生時代、柔道競技の体作りのためにウェイトトレーニングを開始。
ボディビルではマッスルゲート神奈川2024一般の部75㎏以下級優勝。
主な資格は、健康体力づくり事業財団認定・健康運動実践指導者、全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)、日本コアコンディショニング協会認定・ベーシックインストラクター(JCCA)。
現在は立川市、泉市民体育館でパーソナルトレーナーとして活躍中。
「自宅で5分!」第6回は前回に引き続き、ちょっと応用編。第2回から4回で教えてもらった上半身のトレーニングを、重り(ダンベル)を使ってさらに効果的に行います。重りはペットボトルなどでも代用できますよ!

重りやベンチを使うと
ラクにできるトレーニングがある!
富士さん:富士さん:今までご紹介した上半身のトレーニングの中には、少しやり方が難しいものがありました。なかでも第2回でご紹介した背中を鍛える“リバースエルボープッシュアップ”は、要領をつかむまで少し時間がかかったかもしれません。でも、重りを使うとじつはやりやすいんです。自分の体重を支えるより断然軽いですからね。
まずは、背中のトレーニングの定番ともいえる“デッドリフト”からやってみましょう。

重りを使って背中を鍛える
デッドリフト
富士さん:デッドリフトは、背中の筋肉を鍛える“グッドモーニング”の応用編です。重りを持つと、より背中に負荷がかかるのがわかりますよ。
① 足を腰の幅くらいに広げて立ち、両手にダンベル(重り)を持つ。 |

② 身体を前傾させ、足に添わせるようにダンベルを下ろし、下ろし切ったら体を起こす。 |
富士さん:ポイントは、頭と腰まで、上体をまっすぐに保つこと。背中を丸めたり、重りを足からはなしてしまうと腰を痛める原因にもなるので気をつけましょう。

NG1 背中が丸まっている。背面を鍛えられず、腰に負担がかかってしまう。 |

NG2 ダンベルを身体から離して持つ。腕、腰に負担がかかってしまう。 |

NG3 肩と腕に力が入りすぎてしまう。背中に負荷がかかりづらく、トレーニングの効果が減ってしまう。 |

富士さん:ほかのトレーニングと同様、1セット10回として、2~3セットできればOKです。
編集部:ダンベルを持つと背中により力が入るのがわかりますね! ひざは軽く曲げてOKですね!
富士さん:はい。軽く自然に曲げてください。その調子です!
重りを使う方がかんたん!
ダンベルロウイング
このトレーニングは、ベンチを使います。ご自宅に適当なものがない場合は、イスの背もたれやテーブルなどで代用してみましょう。
① 片手でダンベル(重り)を持ち、反対側の手とひざをベンチに乗せる。上体は一直線に保つ。 |

② 脇をしめ、ひじを引き上げるようにしてダンベルを上げて下ろす。 |

NG1 背中が丸まっている。丸めてしまうと効果的に背中を鍛えられない。 |

NG2 肩に力が入っている。肩をすくませると力が分散してしまう。 |

NG3 引き上げる時にダンベルが腰から離れている。肝心の背中に負荷がかかりにくい。 |

富士さん:腰のあたりに引き上げるように意識するといいですよ。あと、ベンチがあるお宅はあまりないと思いますので、壁やイスの背もたれ、テーブルなどを使ってもできるので試してみてください。回数は同じく10回を1セット、できるセット数で始めてください。

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ふだんは意識していない背中の筋肉を動かすと、終わった後、すごく背筋がピンと伸びて気持ちいいです! 姿勢がよくなった気分です! by編集部 |
厚みのある胸をつくって姿勢をよくする
ダンベルベンチプレス
富士さん:ジムのトレーニングといえば、この「ベンチプレス」を多くの人が連想するくらい、ポピュラーな種目です。同じく大胸筋を鍛えるのが腕立て伏せですが、こちらのほうが断然ラクにできますよ。
① 両手でダンベルを持ち、ベンチの上で仰向けになる。ダンベルは肩の上に来るように持つ。 |

② ダンベルを胸の横に下ろし、下ろし切ったら元の位置まで上げる。 |
富士さん: ポイントは、胸をはって肩甲骨がしっかりベンチにつくように意識すること。そしてダンベルを上げるとき、ひじを伸ばし切らないことがポイントです。これも1セット10回くらいで、できるセット数から始めてください。

NG1 ひじをまっすぐに伸ばしきってしまう。 |

NG2 上げたときにダンベル同士を近づける。 |

富士さん:ベンチがない場合は、床でもできます。その場合はヨガマットやバスタオルなどを細長く丸めたものを背中に当たるように置き、肩甲骨がある程度動くようにするといいですよ。

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上げたダンベル同士をくっつけるようにしている人も見かけますが、肩の位置からまっすぐ上に上げることが正しい動作だそうです! by編集部 |
ダンベルを使った
クランチ(腹筋)
富士さん:最後はクランチ、腹筋です。第3回でご紹介した動作にダンベルをプラスしただけですから簡単ですよ。
① 仰向けになり、ひざは90度曲げて足を床につける。両手で額の前でダンベルを持つ。 |

② そのまま体を丸めるようにして上体を起こす。 |
富士さん: ポイントは、第3回のときと同様に胸を骨盤に近づけるようなイメージで上体を起こすこと。完全に起き上がってしまわないようにしましょう。また、息を吐きながら体を丸めるようにしてください。

NG1 ダンベルの遠心力を利用して上体を起こす。肝心の腹筋の力が使えない。 |
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取材スタッフが実際にやってみていると、富士さんがすかさず「ひざをつけて力を入れてみてください」とアドバイス。スタッフは、「すごく効きます!すごい違う!」とびっくり。さすがトレーナーさん。ほんの少しの姿勢の違いでトレーニング効果をアップさせてくれました! |
一人ひとりの体調に合わせた
トレーニングをおすすめします
富士さん:まずは無理のない重さを選んでください。初心者で女性なら1~2㎏ からでいいと思います。男性は2~3㎏からですね。ただし、腰や背中、ひざを痛めているという場合は、大きな負荷がかかってしまってはいけませんので、軽めの重りで無理なくトレーニングしてください。
編集部:ひざや腰は年齢とともに衰えてくる部分ですよね。少し痛みがあってもトレーニングはしていいのですか?
富士さん:詳しいところは、やはり医師に聞いていくのがいちばんですね。あくまで私の場合ですが、長年トレーニングを続けていると、やはりどこかしら痛めているんです。私は腰やひじなんですけれど、筋肉をつけることで関節を補うことが大切なんで、痛いときも加減をしながらやっています。でも皆さんは無理は禁物ですよ! 高齢になっても自分の足で好きなところに行けるのがいちばんいいですよね。
編集部より
