インタビュー

アフリカから来た仏教徒ジャック・ソンド・ノンガネレ氏(ブリキナファソ)

国を出るのが初めて。
飛行機に乗るのも初めて。
でも、志は高い。
頭の中にあるのは、いつも「世界平和」

編集部

甘いお菓子は大丈夫ですか?

Jac

大好きです。

編集部

ノンガネレという名前には何か意味があるんですか?

Jac

Nonganereは良いものは全部愛しなさいという意味です。

編集部

そうですか。ジャックさんは何歳ですか?

Jac

32 歳です。

編集部

もっとお若く見えますね。お仕事は?

Jac

パン屋です。その傍ら、演劇も趣味でしています。

編集部

演劇?

Jac

そうです。文字が読めなかったり、学校へ行っていない人が多いので、演劇で教養的なことを啓発するんです。NGOに頼まれて、いろいろな村へ行って、例えば病気のこととか、ストリートチルドレンの原因になる若い女性の妊娠についてとか、本当にいろいろなことをテーマに演じます。

編集部

誰が脚本を書くのですか?

Jac

私です。私は舞台監督もしますし、役者にもなります。

編集部

すばらしいですね。ところでブルキナファソは日本人にはあまり馴染みがないと思うのですが。

Jac

そうですね。ボランティアの人以外はあまり来ません。

編集部

観光地はあるのですか?

Jac

あります。

編集部

え?(笑)ほんとに?

Jac

ほとんどの街に観光的なところはあります。

編集部

交通はどうですか?

Jac

ブルキナでは交通はそんなに発達していません。

編集部

高原や山はあるのですか?

Jac

ほとんどが乾燥した草原です。ちょっとした丘がある、そこは本当に観光地になっているのですが、そこに山があるくらいでほとんど山はないです。でも、そこでやってはいけないことが1つあって、それは「お墓はどこにあるのですか?」と聞いてはいけないんです。もし聞いたら、その人は、村の人がどこかへ連れて行って2度と帰ってこないんです。

編集部

殺されちゃうの?

Jac

その通り!それが風習ですから。
私でも聞きません(笑)。その部族の人しか死を弔う方法を知らないのです。秘密なんです。

編集部

その部族の名前は?

Jac

ボボ族です。

編集部

ブルキナにはどのくらいの部族があるんですか?

Jac

主要な部族は12、3です。

編集部

1番多いのは?

Jac

私の部族、モレ族です。

編集部

宗教はどのくらいあるのですか?

Jac

キリスト教とイスラム教、そしてアニミズムです。

編集部

Jacさんは何の宗教なんですか?

Jac

祖父の時代はアニミズムでした。
でも父が都会の学校に行くと、父はカトリック信者になって戻ってきました。ですから、私の母はカトリックです。私も以前はプロテスタントのキリスト教徒でしたが、今、私は仏教徒です。

編集部

ブルキナファソに仏教徒がいるのですか?

Jac

はい。います。

編集部

どのくらい?

Jac

興味を持って集まってくる人までいれれば、100人はいます。

編集部

びっくりです! すごいんですね~。
仏教をどうやって知ったのですか?

Jac

ボランティアの方からです。
それからフランス語版の仏教の本をたった1冊ですが、それを一生懸命読みました。

編集部

そして今回初めて立川にいらした。
来日は初めてですよね?

Jac

はい。飛行機に乗るのも初めてです。
パリまで7時間かかって、パリで7時間待って、11時間かけて日本に来ました。

編集部

今回の来日はその仏教のためですか?

Jac

はい。まさか自分が日本に来られるようになるとは思ってもいなかったのですが。
私は常に「世界が平和になるように」、それにはどうしたらいいのだろうと考えていました。
そして思ってもいなかった日本に来ることができた。
そして今回教えられたんです。
世界の平和には、まず自分のそばにいる家族、親や兄弟と手を取り合うことだと。そこから世界平和につながっていくのだと。
自国に帰って、もっともっと家族と仲良くしていきたいです。

編集部

このインタビューがネット上にアップされたら、ブルキナファソでも見てもらえるんですか?

Jac

見ると思います。興味をもってくれます。

編集部

どこでサイトを見るんでしょう?

Jac

カフェです。インターネットカフェがあります。
一部の人は家でも見ると思います。

編集部

インターネットはまだ完備というわけではないんですね。

Jac

携帯電話はみんな持っていますが、ネット環境はまだです。
それでも、情報に興味があるので学校よりネットカフェの方が人が多く、世の中もそちらの開発にお金をかけているようです。

編集部

ご両親はご健在なのですか?

Jac

父はもう亡くなりました。父が亡くなると、母はその村を出て行かなければならないという掟があるので、父の弟と形式上再婚しました。

編集部

ブルキナファソには感染症など病気も多いのでしょう?

Jac

はい。とても。マラリアもありますし、病気による流産もあり、0歳児の死亡率がとても高いんです。10代半ばで妊娠してしまった少女が乳児を遺棄してしまうことも少なくありません。お父さんがいない、認知しない場合は育てられないんです。

編集部

でも内戦状態にある国や飢餓状態にある国に比べれば、アフリカの中でも安定した政治状態にあるのではないですか?

Jac

安定はしています。が、問題もあります。まだまだ民主化されていないと思います。格差が激しく、低所得層はずっと低所得層の中で生きていかなければならない仕組みになっています。逆に富裕層はずっと富裕層の中で暮らせるのです。

編集部

今回、立川以外にもどこか観光に行かれたのですか?

Jac

東京スカイツリー、墨田区水族館、日本科学未来館、船の博物館の周囲を歩きました。都庁にも行きました。とてもいいお天気で、すばらしい眺めでした。東京は、よく人の話を聴く、ホスピタリティ溢れる街だと思いました。

編集部

本当に?

Jac

ええ。本当に。
こんなことがあったんです。
立川で迷子になってしまった時、とても親切にしてもらいました。フランス語で「ボンジュール」とガソリンスタンドで声をかけました。そして合掌しながら私の携帯電話をその方に渡すと、電話で私の友達と話をしてくれて、自分の仕事を放っておいて、私を目的地まで案内してくれたんです。私が「どうもありがとうございます」と言うと、微笑んでくれました。微笑みは大きなプレゼントです。立川の皆さんはとてもよい方達です。
また、雨の中迷子になってしまった時は、傘を貸してあげると言って下さる方もありました。

編集部

他には?

Jac

そうですね。日本にはまだ歴史的なもの、伝統を大切にしている部分が多くあるのだなと感じました。挨拶を大切にして、お互いに尊重し合っている。年齢の高い人や妊婦さん、子どもを抱いている女性には電車内でも席を譲るなど、そうした文化を学びましたので、国でも反映できたらいいと思います。お金持ちでもいばらないし。

編集部

ジャックさんは心がきれいだから、日本の良いところだけが目に映るんですね、きっと。

Jac

ただ日本人はとても忙しい。いつも時間がない(笑)。
そして携帯を持って常にそれをいじっている(笑)。

編集部

そう。日本人は携帯やモバイルで忙しいの(笑)。ところでブルキナファソではみなさん何を食べているのですか?

Jac

トウモロコシの粉で作ったパンです。それにソースをつけて食べます。

編集部

ソースはどんなソースですか?

Jac

ゴンボ(オクラ)の。またはモロヘイヤ。それを潰して、ミネラルなどが含まれる岩塩と一緒に煮たもの。そこにパンを入れて食べます。

編集部

お肉は食べないんですか?

Jac

食べます。鶏、豚、犬も食べます(笑)。猫も食べます。
それから毛虫みたいなものを食べる人もいます。私は食べませんが(笑)。
それはボボ族の食べ物です。牛も羊も食べますが、私は馬は食べません。
昔から王様のお妃様を乗せてくるのが馬だから、食べてはならないんです。

編集部

お話を聞いていると、やっぱりアフリカですよねえ。

Jac

村を移動するにもバスではなくて、トラックに乗るんです。牛や豚、鶏と一緒に乗ることもあります。運ぶものは動物も人も一緒です。窓ガラスのないタクシー、砂が入るからビニール袋を貼付けていたり、煙をボンボン吐きながら走るし。
面白いでしょ? 立川にはそんなタクシーありませんよね(笑)。これがアフリカです。

編集部

なるほど。

Jac

苦しいことも、楽しいことも、すべてが生活なんです。

編集部

勉強になりました。今日は短い時間でしたが、本当にありがとうございました。

Jac

ありがとうございました。