立川名産品レシピ

  • エリア 西砂町

立川名産品レシピ
立川市内で生産される名産品の数々。育てる農家さんのインタビューとともに、管理栄養士が考える名産品レシピをご紹介します。

栄養満点、無農薬・無肥料、自然の力だけでつくる
茂士山ファームの無敵にんにく

立川名産品レシピの第2回は、立川市西砂町で自然農法の探究を続ける農家さん、茂士山さんの畑で育ったにんにくです。
まずは茂士山さんに、野菜本来の力を最大限に活かす自然農法へのこだわりをお聞きしました!
茂士山健司さん

立川市西砂町でご両親の代から農業を営む二代目農家さん。
無農薬・無肥料で育てた野菜は、きめが細かく濃い味わいで、野菜本来のおいしさが際立ちます。

茂地山さんが自然農法にたどりつくまで

西武拝島線、西武立川駅を降りて徒歩2~3分、ちょっとおもしろい看板が目に入ってきます。
そこには「この畑は、あえて除草しない 野草を活かして無農薬・無肥料の野菜を生産しています」との文字が。
なるほど、畑には野草が活き活きと育っています。
続きを読むと「農薬や化学肥料に依存しない 土壌中に住まう微生物の生物循環を活用し 農作物をイキイキと育てあげる全国でも稀な農法を実施しています」とあります。
農業を知らない私としては、肥料をあげないと育たないのでは?と思ってしまうのですが、とんでもない!
茂士山さんが作る野菜は、みずみずしくて濃い味わい。
おいしい野菜づくりにたどりつくには、試行錯誤の歴史がありました。
「両親と一緒に畑をやっているときはね、野草のないきれいな畑だったんだよ。
その頃は有機野菜づくりをしていて、色々勉強したね。
アメリカの本も読んだり、有機野菜の専門家にも話を聞きに行ったり、有機野菜の研究会にも入ってね、土壌の改良や肥料の研究もしてた。
でも親が亡くなっていって一人で作業をするようになると、とても追いつかない。
満足のいく野菜が育たないんだよね。
そんなとき、15年くらい前かな。
農薬も肥料も使わない、“奇跡のりんご”をテレビで見たんだよ。
この奇跡のりんごの生産者さんは、無農薬でりんごを栽培するために年月を費やしたにも関わらず、成功しない。
もう絶望して山に登ったとき、青々と葉を茂らせたどんぐりの木を発見したことがその農法の始まりでね。
山の中だから農薬も肥料もやっていないはずなのに、なぜこんなに立派に育つんだろうと思ったら、土が違っていたっていうことで、山と同じ土の状態にしてやれば育つことを発見した話なんだよ。
それを見て、自分が探していた農法はこれかもしれない!とさっそく“奇跡のりんごフォーラム”という講演会に参加して、勉強を始めたんだよね」

試行錯誤の日々

「自分のところは野菜が主だから、当然、りんごとは違うし、そもそも土が違う。
ここは関東ローム層の黒土だからこの土を最大限に活かすように手を入れていかなければならない。
野草もなんでも生えるにまかせておけばいいわけではなくて、外来種とか種類を見てある程度抜くんだよ。
自分には野菜作りの羅針盤となるものがないんだから、すべて実験して答えを導き出してたね。
その頃、玉ねぎの苗を福島から買っていたんだけど、ちょうど東日本大震災の原発事故で、福島からの苗の流通が止まっちゃったんだよね。
なら自分のところで苗を作ろうとしたら、これが苦戦の連続。
それが、天候不順だったある年、雨が続いたあと、苗がきれいに伸び始めたんだよね。
それで、水やりの量とか回数がわかるようになって、それ以来玉ねぎづくりはもう会得したね。10年かかったかな。
今はじゃがいもだけど、これも10年かかってようやくいい出来になってきたね。
今回のにんにくもね、周りの野草の具合とかをちゃんと見て手をかけてるんだよね。
こうして育って葉が枯れてきたら抜きどきだから」

形もきれいでぎゅっとしまっています(左)
にんにくの収穫のタイミングは葉を見極めて(右)

無肥料だからおいしいわけ

無肥料というと、素人の私が思うのは、小さくて味も薄いイメージ。
ところが実際は無肥料だからおいしいのです。茂士山さんが教えてくれました。
 

「肥料をやると成長は早くなるよね。
だから量をたくさん作りたいところは作物の成長が早ければ、それだけ収穫のタイミングも早くなって他の作物も作れるから商売としてはわかるけど、僕はやっぱりそれでは面白くないんだよね。それに肥料をやると、植物っていうのは窒素、リン酸、カリが大好きだからそれらを優先的に吸収しちゃう。
でも無肥料だと土中のいろんなミネラルを取り込みながらゆっくり成長するから、キメが細かくなるし味も濃縮されるよね。
十分に畑の栄養が取り込まれるからおいしくなるのは当然。かんたんでしょ」

できないことができるようになることが好き

手間も時間もかかる農業を探究し続けている茂士山さん。
野菜を作り続ける中でいちばんの楽しみは何なのでしょう。
 

「それはかんたん。できないことができるようになること。
今、『アンパンマン』の作者をモデルにしたドラマをやってるでしょ。
そのアンパンマンの歌詞に中に『わからないままおわる。そんなのはいやだ!』ってあるんだよね。
それと一緒。わからないから知りたいし、できないことができるようになることが好きだね。
野草の管理も大変で、いまだにわからないことだらけだけど、日々、畑の状態を見ながら変化をとらえて育てていく。
できるようになれば、次の課題に向かう、それが楽しいよね」

本質をとらえたい

自然農法で野菜作りを探究し続ける茂士山さんの今後の展望はいかに。


「物事には本質ってあるでしょ。
例えば日本人ってずっと中学、高校と英語の勉強してきてもしゃべれる人が少ない。
それって英語教育の本質からずれていて、受験のための勉強になってきてるからっていう側面があるよね。
それと同じように、野菜づくりも本当はシンプル。おいしい野菜を作って提供したいということだけど、いつの間にか形のいいもの、大量に生産するほうが大事になってきちゃった。
それに例えばハーブとかって、肥料を与えることで香りを抑えてるんだよね。
今回のにんにくに関していうと、肥料を与えたにんにくは逆に香りが強くなる。うちのにんにくは、無肥料だから香りはやわらかくて、食べた翌日に臭いは残らない。
それがにんにく本来の自然な姿だからね。

だから僕は野菜の本質をもっと知りたいと思うし、極めるためにも試行錯誤、つまりいろんな経験を積んでいきたいと思っているんだよね」
茂士山さんの野菜づくりの姿勢は、お話を聞いていると農家さんというよりは研究者に近いイメージ。
でもその言葉の中に、野菜をはじめ、野草や畑にやってくる昆虫や蛇、土に住む微生物、生きとし生けるものへの大きな愛情とリスペクトが感じられて、心がすっきりするような取材でした。
緑に囲まれた中でのインタビューだったからかな(笑)。
人間がコントロールして野菜を作るのではなく、人も自然と一体となって作物を育てる、そんな在り方が素敵だなと感動しました。

今、畑ではナス、じゃがいも、モロヘイヤなどの夏野菜が、ゆっくりと成長中。
そんな茂士山さんの畑の野菜が手に入るのは、茂士山ファームの直売所のみ!
ぜひ、自然の味わいをご賞味ください!

あのピラミッド建設にもにんにくが重宝されていた?

にんにくは、古来から薬用植物として知られていて、その歴史は古代エジプトにまで遡ります。なんと、ピラミッド建設の労働者に疲労回復のために配られていたという話が残っているとか。

また、日本では「古事記」にも記述があり、「源氏物語」の中にも風邪をひいた娘がにんにくを食したというシーンがあるほど、その薬効はすでに知られていました。

にんにくの健康効果って?

にんにくの主に言われている効能は、以下のとおり。

● 抗菌・殺菌、解毒作用
● 疲労回復、滋養強壮
● 血栓をつくりにくくする
● 活性酸素を除去


ほかにも、冷え性の改善や食欲増進、高血圧の予防などなど、たくさんあります。
けれど、にんにくが身体にいいとはいえ、刺激の強い食物なので、くれぐれも食べすぎないように注意してください。

食欲誘う香りで夏バテ知らずの
にんにくレシピ
 
スタミナ抜群!
手羽元とじゃがいものにんにく焼き
1人分323kcal

■ 材料(2人分)
にんにく…4かけ
手羽元…6本
塩…小さじ1/2
小麦粉…小さじ2
じゃがいも…1個
玉ねぎ(小)…1個
トマト(小)…1個
オリーブ油…大さじ1
塩、こしょう…各少々
 
■ 作り方
1、手羽元に塩をもみ込み10分おき、小麦粉をふる。


2、にんにくは、薄皮を残してばらす。じゃがいもは半分に切り1センチ厚さに。玉ねぎは、8等分のくし形に切る。トマトは横に1cm厚さにスライスしておく。


3、2オリーブ油とにんにくを中火で熱し、香りがしてきたら手羽元を並べる。
きつね色に色づきはじめたら返してすき間にじゃがいもを並べ、玉ねぎを散らす。

4、水大さじ1をふりかけてフタをして弱火にし、15分ほど、途中返しながら火を通す。途中、12分ほどしたら、トマトを入れて焼き目をつける。

5、材料に火がとおったら塩こしょうして火を止めて器に盛る。
にんにくはつぶしながらソースのようにしていただく。


 

味見しました!

じっくり蒸し焼きにしているから、にんにくの香りがしっかりしみ込んで手羽元のうまみがアップ!
さらに、にんにくそのものも口に入れるとペースト状になって、口当たりまろやか。手羽元ににんにくをつけながら食べてもおいしいです!


やわらかなにんにくの香りが食欲さそう
夏野菜とえびのアヒージョ
1人分293kcal

■ 材料(2人分)
にんにく…2かけ
冷凍むきえび…100g
塩、こしょう…各少々
パプリカ…1/3個
ズッキーニ…1/4本
オリーブ油…大さじ4
塩、こしょう…各少々
パセリ(みじん切り)…少々
■ 作り方
1、にんにくは薄皮をむき、縦半分に切る。

2、むきえびは解凍して水分をふき取り、塩こしょうで下味をつける。

3、2パプリカ、ズッキーニは食べやすく切る。

4、水小鍋ににんにく、オリーブ油を入れて弱火で加熱、にんにくの香りがしてきたらパプリカ、ズッキーニ、えびを加えてプクプクするくらいの火加減に調節し5~6分加熱。


5、材えびに火がとおったら全体に塩こしょうをふり、パセリをちらす。


 

味見しました!

にんにくの香りが思ったよりやわらかくてびっくり。
にんにくそのものもホクホクとおいしくていくらでも食べられそう! 野菜の味わいも深みが増してました!


アレンジ自在! これだけで味が決まります!
にんにくみそ
■ 材料レシピ全量分797kcal
にんにく…3かけ
みそ(あわせみそ)…200g
みりん…大さじ3
ごま油…大さじ2
かつおぶし…6g
■ 作り方
1、にんにくは粗く刻む。


2、フライパンににんにく、ごま油を入れて中弱火で加熱する。
きつね色に色づきはじめたらみそを加え、焼き目がつく程度まで炒める。


3、みそが熱くなったら、やけどしないようにみりん、かつおぶしを加え全体混ぜ合わせる。
冷まして保存容器に入れ、冷蔵庫で保管する。


 

味見しました!

にんにくのうまみとコクと焼きみその香ばしさが合わさって、最強調味料のできあがり!
このままご飯にのせても冷ややっこにのせて食べてもおいしいし、食欲のない夏にぴったり!
冷蔵庫で2~3週間もつのもうれしいです。

アレンジメニュー

●にんにくみその焼きおにぎり

好みの形にごはんをにぎり、にんにくみそを適量のせてひろげ、オーブントースターかグリルでみそに焼き目がつくくらいまで焼いてできあがり。
●ゴーヤと厚揚げのみそチャンプルー

薄切りにしたゴーヤとちぎった厚揚げをごま油でさっと炒め、にんにくみそで味つけ。
●冷奴

冷奴ににんにくみそをお好みでのせます。
にんにくとみそでいつもの冷奴にパンチをプラス!
晩酌にぴったりです!

■レシピ考案、料理制作・井上由香理
管理栄養士、北海道生まれ。
病院勤務、フードコーディネータ・アシスタントを経て独立。
テレビ番組の料理から資格を活かした健康によい料理の考案まで幅広く活躍。
おいしくて簡単なレシピを提供。