街のインフォメーション

大坪美穂 黒いミルク―北極光・この世界の不屈の詩―2024年4月13日(土)~5月26日(日)

  • エリア その他
  • ジャンル 展覧会

「大坪美穂展―海界―」(香美市立美術館)展示風景 2008年 
©Kei Uesugi

大坪美穂(おおつぼ・みほ)は、人間存在を主題とするアーティストです。現代の問題を鋭敏に感受しながら、重厚な作品空間を創出しています。

最初期には絵画や身体表現に取り組んでいた大坪ですが、家族の死と誕生、自らの病、人間の尊厳を揺るがすできごとの見聞といった経験をとおして、表現の手法を変化させていきました。近年では、自ら収集し染めた古布、ニュースペーパーと和紙による紙縒り、薄い鉛板などを素材にもちいて制作しています。大坪の作品とは、あまねく必然としての創造であり、大坪自身の生の実証であるといえるでしょう。

大坪の作品をかたるうえで特筆すべきは、その素地にある「ことば」です。大坪の表現の源流には、彼女が豊富な読書経験や詩作などからとらえた、さまざまなことばが存在しています。わけても、ドイツ系ユダヤ人の詩人パウル・ツェラン(1920-1970)、アイルランド語によって詩作する女性詩人ヌーラ・ニー・ゴーノル(1952- )の詩は、大坪の血肉になっているといっても過言ではありません。大坪がふたりの詩から受けとった深い感動は大規模なインスタレーションとして発露し、20年超にわたって国内外の各地で展開され、多くの人びとの心を引きこみながら、広がりと深化をつづけています。

終戦直後の荒廃した街並みが原風景であると語る大坪は、いかなる局面にあっても、作品にあらわすことによって、確かな生をつかもうとしてきました。本展のタイトルとして大坪が選んだことば―「黒いミルク」はツェランの詩「死のフーガ」に依拠し、「北極光」「この世界の不屈の詩」はニー・ゴーノルの詩「北極光」(*)から引いています。言うなれば闇と光とが並立するタイトルですが、ここには、割り切れぬ人間のありようと、それを直視しつつ希望を見失わない大坪の力づよさとが、示されているように思います。

吉祥寺は、大坪が学生時代を過ごした思い出深い地であり、創造の起点でもあります。このたび満を持して当館において構成されるインスタレーションは、大坪の仕事の集大成であると同時に、皆さまとともに踏み出す、生へのあらたな一歩となるに違いありません。

「大坪美穂展―海界―」(香美市立美術館)展示風景 2008年 
©Kei Uesugi

関連イベント

①対談(1)
光田ゆり氏
(多摩美術大学アートアーカイヴセンター所長・同大学院教授、プーアール舎主宰)
大坪美穂氏 
[日時]4月21日(日)14:00~ 
[会場]吉祥寺美術館 音楽室
◎定員60名(予約不要・先着順、当日の入館券が必要)、参加無料

②コラボレーション・ダンス 
深谷正子氏(ダンサー・振付家)
[日時]4月27日(土)15:00~*開場13:45 
[会場]吉祥寺美術館 企画展示室
◎予約不要、作品とのコラボレーション・ダンスを鑑賞いただけます。(当日の入館券が必要)
◎混雑状況によっては、安全のため入室制限をおこなう場合がありますので、予めご了承ください。
◎同時入室上限25名程度
 
③対談(2) 
大野光子氏(愛知淑徳大学名誉教授(アイルランド文学・文化専攻))
大坪美穂氏
[日時]5月11日(土)14:00~*開場13:45  
[会場]吉祥寺美術館 音楽室
◎定員60名(予約不要・先着順、当日の入館券が必要)、参加無料

《歴史が降らせる雨》(部分) 1990-2000年 
©Masataka Nagano

特別展示

大坪美穂-言葉は風となりー

[日時]4月26日(金)~5月2日(木)11:00~18:00
*初日は14:00から、最終日15:00まで
[会場]PENNY LANE GALLERY(コピス吉祥寺A館1階*美術館と同じ建物内)
◎入場無料 期間中無休

入館料

一般300円、中高生100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)
名称 大坪美穂 黒いミルク
―北極光・この世界の不屈の詩―
イベント日程 4月13日(土)~5月26日(日)
10:00~19:30
【休館日】4/24(水)
イベント会場名称 武蔵野市立吉祥寺美術館
所在地 武蔵野市吉祥寺本町1-8-16
コピス吉祥寺A館7階
交通アクセス
※美術館専用の駐車場はありません。