気になる人・インタビュー

  • エリア 西砂町

気になるあの人…突撃インタビュー
立川市内で生産される名産品の数々。育てる方々のインタビュー。

抜群のやわらかさと上品なうま味! 秘密はパンと牛乳!?小林養豚の小林寿男さん

「立川名産品レシピ」第3回でご紹介中の「立川産豚肉」の生産者:小林寿男さんのインタビュー。
立川市西砂町で養豚をはじめて50年。親から受け継がれた伝統と、その土台に研鑽を重ね、進化を続ける寿男さんの飼育方法。知れば知るほど、お肉をいただける喜びや感謝の気持ちが、もっと深くなるかも知れません!
小林寿男さん

立川市西砂町で生まれ育った八代目。ご両親の代に酪農から養豚業に転業して約50年。現在は試行錯誤しながら約300頭の豚たちを育てる多忙な日々。

父親が土台をつくってくれた

西武拝島線の西武立川駅またはJR昭島駅から立川市のコミュニティーバスを利用して約15分。のどかな街並みの一角に目指す小林養豚がありました。じつのところ、養豚家さんの取材と聞いて、豚さんたちのほのか~なニオイを予想していましたが、敷地内に入っても無臭です。なぜかなぁと思いながら、まずは、小林さんにお話を伺いました。

「父の代はここで酪農やってたんだよね。でも仕事仲間からのアドバイスだったのかな、養豚がむいてるんじゃない?って言われて、父はパッと養豚業に転向したの。まぁ、牛はすごく神経質だからストレスや天候の具合、体調によっても乳の出が悪くなるでしょ。そういう点では、豚のほうが扱いやすかったんだね。その後、近所に大手さんのパン工場ができたのが今の養豚の大きな転機になって。それまでは、普通の飼料を仕入れていたんだけれど、工場でいらなくなったパンが大量に出るんで、それを買い入れてエサにすることにしたんですよ。それにプラスして、酪農の時の仲間から、余剰分の牛乳をなんとかしてくれないって言われて、安く仕入れて、パンと牛乳をメインの飼料を与えることにしたら、肉質がみるみるうちによくなってきたんだよ。パンと牛乳は、うちの養豚の土台となったね。親父に先見の明があったんだね。今、巷でよく聞くSDGsのさきがけだよ」

エサによってテキメンに変わる肉質

パンと牛乳を豚のエサにするという発想にびっくりですが、小林さんいわく、小麦は豚の飼料にいいので、パンがよいのはさらに消化もよく、納得とのこと。それでも、パンと牛乳さえ与えていればいいわけではなく、細かな調整は常に必要だそうです。
 
「たとえばちょっと便秘気味の豚がいるとさ、食物繊維を与えようと思ってあんこかすをね、小豆の皮部分がいいかと思って与えてみたら、出荷をお願いしている仲買の人に『ちょっと今回肉の色の赤が強かったよね』と言われたり、なら米ぬかはどうかとやってみると肉質にしまりがなくなったりね、エサによって肉質にすぐ影響が出るから、50年やってきてもまだまだ試行錯誤だよ」

養豚業は365日休みなし!

お父さんの代から家族経営でしたから、基本的に365日休みなし。一日の始まりはエサやりから。パンと牛乳をまぜた飼料を約300頭いる豚に与え、エサやりが終わったら豚舎の掃除。豚は綺麗好きと言われるように、小林さんの豚舎は、本当にきついニオイがしません。夏場は特にニオイがこもってしまうので、きれいに掃除することが必要とのこと。また、敷地内には畑もあるので、草むしりも欠かせないそうです。

試行錯誤の日々

「とにかく休みはないから、子どもが4人いるんだけれど、泊りがけの家族旅行は一切なかったね。せいぜい、家族で日帰り旅行かな。子どもたちもよく文句言わなかったよね。僕は仕事が大変だからとほっぽっておくんじゃなく、子どもたちにはできるだけつき合うようにしてた。末っ子の男の子が子どもの頃、空手やってて大会があるっていうと朝4時起きで豚にエサやって支度して、子ども乗せて運転してなんていう日々も、まぁ今ではなつかしいよね。若いからできたんだろうけど」
 
そのご長男も今では大学生。3人のお嬢さんもそれぞれ管理栄養士などの資格を取得されて社会で活躍しています。

「おいしい」と言ってもらえるのが何よりのよろこびかな

立川市近辺で、小林養豚の豚肉を購入いただけるのは、その美味しさにいち早く気付き、取り扱っている「スーパーさえき」のみ。
立川市内は、柏町店と西立食品館。武蔵村山市の大南店の3店です。
先日近所の郵便局の局員さんが、「豚肉買ったら小林さんのでした!すごくおいしくってまた買います!」と言ってくれたそう。
 
「そういう声がいちばんうれしいよね。もちろん、いい豚をつくって高い値段で売れたときもうれしいけど、僕たちは消費者の声を直接聞く機会はないから、地元で販売してその声を聞けた時は、まだ頑張らなきゃなって励みになるよ。まだ息子が大学生だからとりあえずあと2年間は学費を稼がなきゃね(笑)」
 
気になる後継者問題ですが、今のところは特に決めていないそう。でも小林さんの気持ちがこもる発言が…。
 
「僕が二十歳の時、おやじが新しいトラクターを購入してくれたんだよね。だから、僕もさ、そろそろ息子にトラクターは買ってやろうと思ってる。まぁでも、欲張らずにね、いい豚をつくるために頑張っていこうと思ってるよ。どんなに頑張ってもブーブー言われちゃうけどね。豚だけに(笑)」

穏やかな語り口の中に、小林さんの家族愛があふれていて、こうした愛情の深さがよい豚を育てるんだろうなと感じるインタビューでした。
特色のある飼育法で肉質も上質。ブランド豚にしないのですか?と聞いてみると「手続きとか、けっこう面倒なんだよね。おいしいと言ってくれる人がいるなら僕はこのままで十分」とのこと。事業拡大を目指すのではなく、おいしいの言葉を聞けるよう、誠実に豚を育て続ける小林養豚さんの豚肉を、ぜひ味わってみてください。
小林さんが育てた豚肉が購入できる「スーパーさえき」の3店舗は、以下の通りです。

【立川市】
■フーズマーケットさえき 柏町店
所在地:立川市柏町2-25-1
営業時間:9:00~24:00
TEL:042-534-7788
駐車場:61台

■さえき西立食品館
所在地:立川市富士見町1-23-13
営業時間:9:00~21:45
TEL:042-529-5333
駐車場(提携)167台

【武蔵村山市】
■フーズマーケットさえき 大南店

所在地:武蔵村山市大南3丁目133-1
営業時間:9:00~21:45
(2025年8月1日から、9:00~24:00と変更になります)
TEL:042-561-7666
駐車場:41台