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インタビュー

応援立川インタビュー ロバート キャンベルさんに聞く(1/4)新しい生活様式は〈Withコロナ〉

自粛中に国文学研究資料館ではひとつの動画を配信しました。
内容は、江戸時代よりずっと以前から、日本には疫病とともに暮らしてきた長い歴史があるということ、
そしてそのことが国文研にある書物に記されていることを知らせ、
今そこに目を向けることこそ実は大切なことなのではないか、と問いかけるものでした。
6月3日、テレビ電話システムでキャンベル館長にお話をうかがいました。
 
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ロバート キャンベル館長 国文学研究資料館で

――配信された動画を拝見しました。25分くらいありましたがあっという間でした。それをSNSでシェアしたところ、フランスから「立川万歳!」というコメントをいただきました。

キャンベル 動画をご覧頂いてありがとうございます。コロナは敵ではありません。これは戦争ではない。コロナウィルスは人類と共に生きる気満々、生きる能力はないし生物ではないのですけれども、共に生きたい。これからはワクチンもでき検査も進み治療薬などの医学的発展が進むと思いますが、ウィルスが完全に無くなるわけではなく、共存しなければならないのです。医療現場や医学の専門家たちの大切な研究や判断がなされていきますが、私はアフターコロナではなくウィズコロナと考えています。私たちが専門とする文系科学の今までの歴史的体験として、日本列島の中で感染症とどのように付き合ってきたか、予防、治療、守り合い、失った人やモノ。空間だけでなく時間的距離をどのように保ちながら社会として結び合うのかということ。国文学研究資料館に保管されている多くの書物の中に、日本の中だけでなく世界に発信してもよい知恵や経験が、人々の歴史記録や文学という表現の中に記されています。特に精神的な思いというものが刻まれているので、丁寧にそこを汲み出して共有していかなければならないと思っています。
 ご覧頂いた動画を配信したその日に、大手出版社から詳細な企画書と共に、このことを本にしたいという依頼が来たので、今それを進めています。私ひとりが書くのではなく、万葉集から近代まで、各時代各ジャンルの専門家が持ち寄って、日本の古典から読み解く感染症、まさに「日本古典と感染症」というテーマで、私が編者で準備しています。できるだけタイムリーに、私たち研究者が積み上げてきたものを一般の方に向けて提供し、ウィズコロナを実現していきたいと思っています。