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インタビュー

応援立川インタビュー ロバート キャンベルさんに聞く(2/4)新しい生活様式は〈Withコロナ〉

―― それぞれがそれぞれの立場でウィズコロナを実現するわけですが、えくてびあんのようなローカルメディアに対して館長はどのようなお考えをお持ちですか?

キャンベル 私が立川に来たのはちょうど 3 年前のことです。私が館長に就任する前に、えくてびあんの某記者に東京大学の私の研究室に来ていただきました。私の、立川とのリアルな接触、接点が実はローカルメディアだったことを思い出しています。
 

2017年3月 東大のキャンベル先生研究室で

 私には、立川に対しての予備知識、地元観が無かったということ、それから中央線沿線に住んではいるのですが常に都心に向かって動いてきたという長い歴史があって、立川は私の関心の範疇にはありませんでした。用事がないことに対して、人はだいたい視界に入らないですよね。全国の大学共同利用機関ではあるのですが、立川市にある国文学研究資料館の長になるに当たって、ローカルメディアの水先案内で、まず地域のどういう方々とお目にかかって、自分がこれから新しくしていくことを伝える、つまり顔つなぎすることを促されました。そのことは、私の仕事のどこにも書かれているわけではなかった。淡々と館長室に入って、全世界の研究者とあるいは全国の様々な研究者や学生たちを相手に通じていけばよかったのかもしれません。でもそうではなくて、私たちの全国的な大学共同利用機関が実は地元にあるということ、私にとっては幸福なことに最初からそのきっかけ、口火を切らせてもらえたことがとてもありがたいことでした。

 ローカルメディアがとても重要だということ、人々の行動を促す力があると思ったのは、新しい職場でその職場のあるコミュニティの人たちに目を向けて、このコミュニティを自分の仕事の半径の中に組み込んでいくことを実現させるのに、実はローカルメディアの存在がとても大きいと思ったことによります。ローカルメディアの取材の元になり記事になって、私たちの活動が地域に少しずつ知られるようになりもしましたが、取材を受ける私の立場からすると、実はそこがドラえもんの扉ではないけれど、いろいろな所と繋がっている扉だったのです。ここに警察署がある、駅がある、大きな会社がある、寺院や神社がある、商工会議所がある、個性的な美味しい飲食店がある、それは地図を見ればわかりますし、検索すれば情報は取り入れられます。それで私たちの仕事は行うことができるのです。けれども、ローカルメディアが介在することで、実はそのひとつひとつに人がいる(笑)。当たり前のことですが、同時に、その人たちに対して私がいるということを知っていただけるのです。すごく単純なことですが、人というのは不思議なもので、資本金がいくら、収益がいくら、駅なら乗降者数とか、それはとても大事なことです。大事ではあるけれども、そこをコミットし実際にそこを動かしている人たちに会ってみると、違うんですね。
 
国文学研究資料館大会議室で行われた 国際研究集会

 国文研に社会連携推進室という部署を作りました。地域の社会と連携する、地域と私たち研究者がやっていることは無関係ではなくて実は繋がる。繋がることによって、私たちが私たちの成果を地域に還元することができる。それだけでなくて、私たちの基礎文系科学的な知見ですとか基盤的な仕事に、その繋がりがすごくプラスしているということがわかりました。これは理屈とかきれいごとではなくて、今西前館長の時代からえくてびあんとの関係があり、密着取材してくださり、それを私が引き継いだわけです。ローカルメディアが媒介して、一見異なることを一生懸命やっているプロフェッショナルが繋がって起爆力を創り出しているのです。私はいろいろな地方、地域で仕事をしてきましたが、他でもないこの立川でそれを実感し、国文研の中でみんなできちんと人員も予算も獲得し、人を増やし研究者が地域と向かい合っていろいろなことを進めていくその骨組み、足場のようなものができたところです。

 ボランティア的ないろいろな組織、団体があります。同業種が集まって作っている団体はお互いが支え合い刺激し合うのですが、そうではないローカルメディアだからこそ、車のハブのようなものになっていろいろな人を結び合わせることができる。私たちのような機関と土地開発の会社、あるいはフィギュアを創る会社、商工会議所とか昔から立川の文化を守ってきたお寺や神社。繋がることによって、異なる職種の人たちがそれぞれの資源を出し合って新しい価値を生み出していくことができているのです。