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インタビュー

立川から発信するアーティスト Vol. 3かぶりもの作家 ニシハラ★ノリオさん

Props costumes Artist ニシハラ★ノリオ (Nishihara Norio)

美術制作会社にて立体造形の制作に携わる。
数々のテレビ番組の
かぶり物(主にビートたけしさん)や、
舞台オブジェを世に送り出す。 
2004年より個人での作家活動に舞台を移す。 
同年、金沢21世紀美術館で
初のカブレル展示&ダンサーによるパフォーマンス。 
2012年パリ日本文化会館で
カブレル展示&ワークショップ。 
2014年ロンドン→マドリッド→
永福町(東京)“三大都市”で
カブリモノツアー決行。
2016年おおさかカンヴァスにて展示&ワークショップ。
CМ、映画、舞台美術と幅広く活動中。 
HP: http://www.norionishihara.com/

“はだかの王様”になって嘲笑されるよりも、
かぶりものを被って、
大笑いされる方がだんぜん楽しい!

「それでいいんだよ」
故・岡本太郎氏の声に背中を押され、
日々、真剣に“ふざけ”続ける
かぶりもの作家 ニシハラ★ノリオさん。

太陽の塔の下で開催される
アーティスト達の祭典
『大阪カンヴァス2016』を前に、
独特の世界をのぞかせていただいた。

制約がある中で
作るのも楽しい。

23~33才まで舞台美術の制作に携わっていました。
最初はすっごく面白くて、こんなことして
お金をもらえるんだぁって。
商業美術は答えを出す人がいて、
その人の手となり、足となって作る世界。
技術マシンですね。

◆軽いウレタン素材で作られているため、子供から大人まで誰でも簡単にかぶれるかぶりもの。

なんだこれ?
オモシロイ!が好き。

製作会社で仕事をしながら、
自分の作品もずっと作っていたんです。
その比重がだんだん変わってきて。
商業関連の仕事も、監督と直接話して
作ることが増えていった。
「こんな感じでたのむよ」って、
ざっくりとしたイメージを言葉で伝えられて。

本番で、実物を持っていった時には
大爆笑!みたいな。
いざ撮影という時に、盛り上がらないと
ダメですからね。
見せた瞬間のリアクションで
決まるところってありますから。

◆大人の方がかぶってるのを見るのが、特におもしろい。そおっとかぶって、鏡見て「ほぅ」って
つぶやきながら戻して…。

パンクロックみたいに、
“視覚の音”を出したい。

僕は音楽が好きなので。
美術でも音を表現したいなって
思っていました。
たとえばパンクの人が
ジャンプしたりするような音。
美術は視覚だけじゃない、
やはりグルーブ感が一番重要だなって思います。

誰かに教わって、じゃこれを作りましょう、
それもありだと思うけど、世の中に出していく人は
それじゃダメなんじゃないかな。
その人にしか出せないものを
創り出す、オリジナリティが大事だと。

安心感なんてなにもないけど。
自分がよし!と思えたら、
何言われても僕はなんとも思わないです。

昔は、人に対して“このやろう”。
今は自分自身に怒ってる(笑)

小4くらいだったかな。
絵の授業でデッサンして、色を塗って…
という順序を先生が教えるんですけど、
僕はいきなり絵の具で塗ったりしてた。
それを見て先生はいつも「ダメダメ」って。
ある時、先生が怒って
僕の絵を水で流してしまったんです。
それで挑戦的な気持ちで、
すっごく細かく鉛筆で下書きしたらホメられた。
その頃からかな、“このやろう”というのが
芽生え始めたのは。

昔は人に対して“あいつは敵だ、
このやろう”って戦っていればよかったけど。
それもだんだんなくなっていく。
いや、今も少しあるかな。

◆ロンドンで行ったワークショップでは、ジャマイカン、アフリカン、スパニッシュ系、中東、黒人の方々も
多数来場。ニシハラさんの作品は、あらゆる垣根を超えて世界中の人に愛されている。

作り始めはいつもいいんですよ。
よぉし、これ作るぞ、楽しい~!って。
そのうちギャラのこととか
色々考えると“これ全然儲からないじゃん”
って思ってきたりして。
でもスイッチが入る、瞬間があるんです。
“作るって決めたじゃないか”
“もういい。お金もみんな使っちゃえ。完成させよう”
半ば自分に怒りながら(笑)。

自分の中で、きたココ!って
瞬間が2回あって。
アイデアが出た時とそれが形になった時。
あ、きたきたって。
そんな時?! 縄跳びします。(笑)

僕のテーマは
「一生懸命ふざけよう」。

かっこよくて売れるものとか、
すごいおしゃれでキレイなものとか。
みんなが欲しいものを考えなきゃいけない
人たちもいますよね。
僕は、ヘタにかっこつけるくらいだったら、
ふざけ続けてやる、というのがずっとあります。

昔は “わぁ~あの人、ふりきっちゃってるわ”
っていうくらい、かっこつける人が
いっぱいいたのに。
今はかっこつけることを、
かっこ悪いと思ってるから。
それならトコトンふざければいいのに、
それもできない。

◆立川市柴崎町のアトリエで、朝8時から仕事を始めるニシハラさん。

家族には、
「勝手なことやっちゃって
すみません」。

僕は3人姉弟の末っ子で。
1つ上の兄貴は、大分で
家業のかんづめ工場を、継いでいます。
製造って大変なんです。
僕はくだらないことやってるけど、
みんな「がんばれ!」
って応援してくれる。
兄も「俺はお前のようなことは、
出来ない。がんばってるね」って。
僕からしたら「いや、兄ちゃんこそ」って。

自由に好きなことやってるけど、
ちゃんとやらなきゃいけないな、
ヘンなこと出来ないなって思います。

「変なの~」
「バカじゃないの?」
それが成功。

かぶりものって、
コミュニケーションツールなんです。
スペインの大使、美術館の館長、
日本文化交流基金の室長…
どの世界のおエライさんも、
かぶっちゃえば肩書も何も関係なく
みんな同じになりますから。

「どうぞ」って勧めると、
最初は「いや、いい」って言うんです。
でもこういうのって、
似合うもクソもないので。
案外、ストレス発散になりますよ。

個人のかぶり物から、
ランドスケープまで。

展覧会も決まってるのに、
作るものが全然決まらない、
ああ、どうしよう~って、
眠れなくなっちゃいます。
そんな時は、ギリギリまで待ちますね。
落ち着くまで。

作り始めると疲れるので逆に眠れます。
もう疲れた…
いや、でも完成するまで頑張ろう。
完成したら死んでもいいや。
死んだら誰かがかぶってくれるだろうって(笑)



※記事の内容は掲載時のものです

by T.I