立川から発信するアーティスト Vol. 5シンガー 松本野々歩さん
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Singer 松本野々歩 (Nonoho Matsumoto)
『ロバの音楽座』・
『カテリーナ古楽合奏団』のリーダー
松本雅隆氏を父に持ち、幼少の頃から
音楽に親しみながら育つ。
親子に世界のわらべ歌を届ける
『チリンとドロン』の活動をはじめ、
ロバハウスを拠点に、音楽、踊り、
物づくりを通して、子どもと大人とで
「あそび」を考えるユニット
『ロバート・バーロー』や、
今年10周年を迎えるバンド『ショピン』で
ボーカルを務める他、CMソングや
ナレーションなど、幅広く活躍。
2011年、魔法の言葉「ポポポポ~ン」
のCMで一躍、話題に。
2015年、自身が幼少期を過ごした
「ロバハウス」で様々なイベントを
主催する「nonohono企画」を始動。
3つ違いの妹は、パリ在住のダンサー
松本更紗さん。
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思春期の頃には反発したこともあった
という父の音楽を、今では“唯一無二”と認め
自身もまた独自の世界を追い続ける
松本野々歩さん。
飾らないその歌声には、
人を素直でやさしい気持ちにさせる
不思議な力があります。
玉川上水のほとりにあるロバハウスで。
野々歩さんのこれまでのこと、
これからのことを語ってくれました。
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教えるより、見せる教育の中で。
父(松本雅隆氏)から「音楽とはこうだよ」と、
教わったことはないですね、今、思うと。
お風呂の中で桶を叩いて歌ったり、
歩く時の足踏みのリズムが
遊びになっていたり。
いつも自然に見せてくれていて、
それを好きになって上達していく、
そんな流れでした。
◆「チリンとドロン」のコンサートより。映像監督:波多野州平さん
歌は習わず、歌ってた。
ピアノ、バレエ、バイオリン…
妹も私も、基本的にやりたいと思う習い事は
させてもらっていました。
これに興味があると言うと、
それを見せてくれたり、試させてくれたり。
先生に習うとなるとお金もかかるので、
もちろんすべて「どうぞ、どうぞ」って
わけではなかったですけど。
どうしてもやりたいんだと
両親を説得して。
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◆『ロバの音楽座』リーダー 松本雅隆さん(左横)との共演の機会も多い。(2016.09.11)
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◆2年越しの願いが叶い、ロバハウスでのライブが実現。オーストラリアのミュージシャンJane Thompson & James Rigbyと。(2016.9.11)
自問自答を
繰り返していた10代。
私は中・高と自由教育を取り入れている
学校に通っていたんです。
教科書もテストも校則もほとんどない。
その分“この先どうなりたいの?”って
自問自答することが多い環境でした。
中学1~2年の頃だったかな?
それまで父の演奏に合わせて歌ったり
していた私が、ちょっといなくなった
時期がありました。
特に音楽に関して父のやってるものが
イヤに聴こえて。
家の中で激しいロックや
パンクを、わざと大きな音で聴いたり。
若い子によくあるちょっとした
反発なんですけど。
反骨精神は親ゆずり。
一度は否定してみたかった。
父も母も若い時には、
親に反発した時期があったようです。
そして自分を信じて、
この空間(ロバハウス)や
ロバの音楽座というグループ、
音楽を確立してきた。
その血は、私にもあるなって強く感じます。
一度、疑ってかかるというか、
“親がしているからって
簡単に聞き入れる人間じゃないわよ”
みたいな(笑)。
高校1年の時、“本当の自分って
どんなだったかなぁ”
少し、ひとりになってみたいなと思い、
「アイルランドに1年間留学したい」と
言いました。
両親は、私の今後のために なるならと、
投資の気持ちで送り出してくれたと思います。
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◆Photo:相澤心也さん 『ショピン』のライブより。
ちょっとした工夫や
努力を惜しまず、いつまでも
夢を与えられるように。
音楽家というのは、経済的なことに限らず、
安定しない職業ですので。
プロとして、音楽としてやっていく厳しさなどに
ついて、未だに父とよく話しますね。
継続していくことの大変さを、
誰よりもわかっている父だけに、
一番身近なところで
心配してくれていると思います。
音楽活動歴40年の父でも、
日々、悩みながらやっているのを
ずっと近くで見てきたので、
私もこうして悩みながら
やっていくんだろうなって。
音楽について、
父からアドバイスを受けることは
あまりありません。
……あ、これは娘への希望かな。
「口紅の色、変えた方がいいんじゃない」とか、
「今日の衣装、どうかな」とか。
意外と言う(笑)。
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◆Photo:相澤心也さん
歌は話しかけるように
届けたい。
田中馨さんとのユニット
『チリンとドロン』など、
小さい子たちの前で歌うことで、
気づかされたことがありました。
“演じなくていいんだ”って。
どう歌うのが正解とか、
子供たちには全く関係ない。
普段しゃべる時のように歌えば、
人の心にスッと入り込めると
感じられたことが確信になりました。
何よりそうすることが楽しい!って。
それをきっかけに、立ち居ふる舞いや
発声の仕方など、色々なことが
変わっていきました。
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◆Photo:神ノ川智早さん 『チリンとドロン』の田中馨さんと。
“個性を大切にしてほしい”
が『チリンとドロン』
のメッセージ。
お父さん、お母さんもお子さんと一緒に
歌を聴きながら、“自分たちの子どもが
どんな大人になるのかな”って
考えると思うんです。
シャイでも、少しくらい落ち着きがなくても、
あるいは声が小さい、大きい…
そうしたことをひっくるめて
好きになってほしい。
私の活動の中には、そんな思いがあります。
ひとりしかいない自分。完璧な人はいません。
私の歌を聴いて、“楽しそう、自分にも
出来そう”って思ってもらえたら。
CM「ぽぽぽぽ~ん♪」の
反響を通して
信じた言葉。
あの時期に、あれだけ何度も
流れたことでの反響は大きかったです。
批判や苦情のメールも沢山ありました。
でもその声と同じくらい
ポジティブなお便りも頂いて。
「あの歌声を聞いて
子供たちが泣き止んだ」とか、
「どんよりとした空気が
明るくなった」とか。
私はそっちの言葉を
信じようって思いました。
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声は一つの道具。
表現方法は無限。
私はひとりで内にこもって創作するよりも、
人と話したり、 一緒に何かを
創りあげていくのが好きなんです。
歌も歌うけれど、
総合的に空間を考えるの好き。
舞台の装飾や衣装、演出など、
空間をまるごと褒めてもらえると
とても嬉しい。
一歯車として、色々な世界の要素を
追究してみるのも、
おもしろそうだなぁって。
新しい出会いの中で、
もっと人に喜んで
頂けることがしたい。
音楽に限らず、踊りの人、絵の人、映像の人…
色んなジャンルの人と
コラボレーションしてみたいですね。
自分を面白いと思ってくれる
人がいれば、臆せずなんでも
やってみようって思います。
今とてもフラットで、フレッシュな気持ち。
どんな表現の形でも会場に来て下さった方に
少しでも“幸せ”を感じて頂けることがしたい。
その空間にいる間は、
つらいことも忘れて…。
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◆立川のロバハウスを拠点に、様々なアーティストの活動もコーディネイトしていきたいという野々歩さん。
※記事の内容は掲載時のものです
by T.I
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