立川から発信するアーティスト Vol. 7ダンサー 松本更紗さん
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Dancer 松本更紗(Matsumoto Sarasa)
国立音楽大学音楽学専攻卒。
ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に、
笙を宮田まゆみ氏に師事。
パリ市立高等音楽院古楽専攻
ヴィオラ・ダ・ガンバ科卒業。
クラシックバレエの経験を活かし
古典舞踏をフランスで学ぶ。
2014年ル・ポエム・
アルモニークの音楽によるオペラ
「ディドとエネアス」において、
踊りと演奏で出演。その他、
ヨーロッパの主要ダンスカンパニーや
音楽グループの公演など。
また、父・松本雅隆氏主宰の
カテリーナ古楽合奏団、
ロバの音楽座の舞台にも出演。
フランスと日本を行き来しながら、
様々なジャンルで活動を続けている。
姉はシンガー 松本野々歩さん。
ロバの音楽座 HP
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古楽器 ヴィオラ・ダ・ガンバの奏者として、
ある時は宮廷の舞姫として世界の人々を魅了。
“あらゆる「音」を、見える形で表現したい”
日本とパリを往来する中、
今、ここにしかない美しさを奏でる松本更紗さん。
152cmの華奢な身体がひとたび、
舞台に上がると、大きく存在感を放ちます。
たましんRISURU大ホールをはじめ、
様々な舞台に出演するため、
帰国中の更紗さんにお話を聞くことが出来ました。
◆ヴェルサイユ宮殿にて
“何かにつながる”という気持ちで、すべてと向き合う。
5才から19才頃まで
クラシックバレエをしていました。
バレエって、スポーツに似ているところがあって。
努力次第で、あるところまでは行けても、
生まれ持った跳躍力とか、
アスリートとしての資質がもとめられます。
身体への負担も大きいですし。
私は、もう少し心地よくふる舞えるものが
したかった。
自分の中から自然に湧き出てくるものとか。
でもバレエは、今に活きているので
続けてきてよかったと思います。
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◆2014年より携わっているオペラでは、ヴィオラ・ダ・ガンバも演奏 (左前)。Photo : Frédéric Carnuccini, Agence Albatros
私の「音」を表現するために。
物心ついた頃から、身の回りに父のしている中世・ルネサンス時代の音楽や
沢山の古楽器がありました。
その中で、私はヴィオラ・ダ・ガンバの音色に
とても惹かれた。これは、「音」を表現する
一つの方法になりました。
もう一つは表情や動きなど、身体で表現する「音」です。
ヴィオラ・ダ・ガンバを弾いていて、
当時どのような踊りが踊られていたのか、
興味を持ちました。
そこで出会ったのがルネサンス、
バロックダンスだったんです。
◆DIDO & AENEAS
人間らしさを感じる、
ルネサンス、バロックダンス。
ヒストリカルな踊りには、民衆的なものと
宮廷のものがあります。
民衆の踊りは、広場で輪になって舞うような踊り。
一方、宮廷の踊りには日常生活の美しい所作を
学ぶための目的も含まれているんです。
立ち姿やドレスが美しく見える動き、
物の渡し方ひとつ取っても、
こうした方がキレイとか。
すべてが踊りの中に息づいています。
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◆Photo : Stephan Gloede (右端) ジャン=フィリップ・ラモー:オペラ「ピグマリオン」
3才頃までが、
私の一生分の反抗期。
幼少の頃は、演奏会や映画は観られない。
電車もイヤー!それはわがままで、
大変だったようです。(苦笑)
そういうわがままも自分をしっかり持っている証、
と今は思える。
周りのお父さん、お母さん方に「大丈夫ですよ」って
言ってあげたいですね。
3つ上の姉、野々歩とは、全く性格が違います。
だからか、すごく仲がいい。
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舞台が好き。
中学生の頃、ちゃんと役をもらえて
舞台の上にいるのがすごく気持ちよくなった
瞬間があったんです。
先生に喜んでもらうために踊るんじゃない。
まずは自分が、とにかく楽しむことが一番だと。
それ以来、ライトを浴びるのが快感に
なっていきました。
ロバのメンバーを見ていても、
みんな楽しんでいますね。
だからお客様も楽しめる。
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◆ロバの音楽座 「コンサートのぼうけん」より (たましんRISURU大ホール)
自分を売り込むのが苦手。
パリに行って4年ほどヴィオラ・ダ・ガンバを
学ぶため、音楽学校に通っていました。
学校がバカンスになる度に、
様々な踊りの講習会に行って、
ひとり黙々とレッスンを受けていたんです。
そのうち周りから、「自分でドアを開かなきゃ、
誰も手を差し伸べてくれない。
フランスはそういうところだよ」と
言われ始めて。
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◆Photo : Stephan Gloede (左2番目) ジャン=フェリ・ルベル「Les Caractères de la Danse」
普通は、振付家や演出家に、
「やらせてください」って
売り込むものかもしれないけれど、
私にはそれが出来ない。
でも、舞台が大好きだし、
やりたい気持ちは人一倍あって。
“言おう、やめよう、言おう・・”を繰り返して
結局、言えたのが渡仏して4年くらい経った時。
もう帰ろうという時に、
フランスの主要ダンスカンパニーや
バロック音楽アンサンブルの公演のオファーが
重なりました。
周りの方の勇気や優しさに活かされて、今がある。
経歴云々よりも、可能性や
“一緒にやると面白そう”って
思ってもらえたら、チャンスがやってくる。
見知らぬ日本人。
若く見えるし、経験もない者を
いきなりボンと舞台に出す決断って、
すごいなぁって。
みんなの勇気や優しさに活かされて、
今の私があるって思います。
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今していることがいつか人のためになるように。精いっぱい、生きる。
東日本大震災があった時、
フランスにいたんです。
被災された方々のために
何も出来ないことが、ずっと悲しかった。
チャリティコンサートなどをされる方もいたけど、
その時、私はまだ学生だったし、
中途半端な私を見せてお金を頂くのは申し訳ないと
下手に動けなかった。
今は、何のお役に立てなくても、
自分が出来ることを一生懸命頑張るしかしかないって、
思いながら過ごしていました。
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ジャンルにとらわれず、自分の表現というものを突き詰めていきたい。
パリで参加している舞台には、
バロックダンスをはじめ
パントマイム・コンテンポラリー
ダンス・バレエなど、様々な要素が入っています。
「ルネサンス」「バロック」という
馴染みのないジャンルを日本でどのように
伝えていくかということが、
これからの課題ですね。
そのためにも、もっと成長したいし、
ジャンルを超えて様々な人と出会って
経験を積みたいという思いがあります。
出来るなら、もう少しパリにいたいな・・。
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◆踊る楽しさを、親子で楽しむワークショップより。(ロバハウス)
『ロバハウス』を、もっと知ってもらいたい。
自然があって、鳥の声が聴こえる
ここ、玉川上水はやはりいいですね。
いっぱい呼吸をしたくなる。
そして家族のいる『ロバハウス』は
どこよりも落ち着きます。
『ロバの音楽座』、『カテリーナ古楽合奏団』
の活動も含めて、これからはこの空間で
色々なジャンルの方々を招いてワークショップや
イベントをしていきたい。
この空間が作り出す雰囲気も活かして、
共感してくれる方々と一緒に。
立川の方々にもたくさん来て頂きたいです。
踊りっていうと構えちゃうけど、
ただ音楽に合わせて歩く、
それも違う年齢の方々が
一緒に楽しめることを、
もっと色々な所でしていきたい。
それも、今後のテーマの一つです。
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※記事の内容は掲載時のものです
by T.I
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